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かみさまのにっき [かみさまのにっき]

2月22日


昨日の夜。
余は、ゆっくりと病室を出た。


「退院するぞ」


見舞いに来てくれている真由に言った。


「え?いきなり退院とか出来ないよ!」

「余はアイツを殺さなくては、気がすまない!」

「アイツって誰!殺すなんて言っちゃダメだよ!」


真由が、そう言って余の体を抱きしめた。


「真由、離せ!」

「ヤダ!」


真由の腕に力が入る。


「真由……?」

「神様、死んじゃやだ。
 神様、ホントのことを話してくれないから私には事情はわかんない。
 だけど、危険なことをしようとしているのでしょう?」

「……」

「だったら絶対に離さない。
 神様まで死んだら、私……」

「余は死なん!
 何故なら余は……」

「“神”だから……?」

「真由……?
 何を言って……」

「隠さなくてもいいよ。
 私、巫女だよ?」

「……」

「だから、わかるんだよ」

「……そうか」

「うん」

「大丈夫。
 余は死ににいくのではない。
 殺しにいくのだよ」

「それもダメ」


真由の体が、ブルブルと奮えている。


「だが、ヤツは優心を殺した」

「だからって殺した人を殺したらダメ。
 殺した人にも友達がいて親がいる。
 神様がその人を殺したら、今度は神様がその人に殺されるよ!
 そうなったら、復讐の連鎖は永遠に止まらない……
 ヤダよ。そんなのヤダよ」


真由は、体をガクガクと震わせながらそのまま泣き崩れた。


「真由……」

「だから、お願い、行かないで……」

「わかった……
 殺しはしない。
 ヤツを捕まえ、法の裁きを受けさせよう」


そう、白銀を殺すのは難しくないかもしれない。
だが、それではただの復讐だ。
余は、常に冷静でいなくてはいけない。

何故なら余は、願神。

願いを叶える神であり。
人を裁く神ではないのだから……


※この物語は、フィクションです。


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