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かみさまのにっき [かみさまのにっき]

3月31日

雨。
見送りに来る友人たち。
亜金、玉藻、のんこ先輩にクロに遊楽。
空猫先輩もいるし万桜もいる。
ミリカも不安げに余の方を見ている。

流石に、藍と零は、来ていないか……


「神様が神様だったんんだていまだに信じれないな……」


のんこ先輩が、首を傾げる。


「ああ。
 信じろとは、言わないが……」

「信じるよ。
 そんな嘘をついても仕方がないもん」

「すまないな」

「でも、一番来なくちゃいけない人が来ていません」

「真由は来ない」


ミリカの問いに余はすぐに答えた。

「……貴方、まさか……」

「ああ。真由の記憶は消した。
 辛い思いはさせたくないからな……」

「……そう」


余は、亜金の方を見た。


「亜金、お主は一緒に来ないか?」

「え?」

「天界なら、主を差別するモノがいない。
 そうすれば、平穏にお主は過ごせることになる」

「俺は、残るよ。
 こちらには、みんながいるから……
 それに、もう俺は、もう弱虫じゃない」

「そうだな……」


余はニッコリと笑った。


「じゃ、余は行く」


余は、ゲートを開けるとすぐに展開への門を潜り抜けた。
父上殿が特別に作ったゲートは、性能が良くあっという間に天界に着いた。


「神様待っていましたよ!
 仕事、溜まっていますのですからね!」


カリスファーが、余を睨む。
アザゼルは、ため息をつく。


「カリスファー、アザゼル」

「なんですか?」

「ただいま」


余は、誇らしげに笑った。
あのゲートをくぐったら皆、余のことを忘れているだろう。
だけど、余は忘れぬぞ。
主らと会ったことを……
余は忘れぬ。
あの思い出を……


だけど、あえて言おうではないか……


「またな」と……



---終---

※この物語がフィクションです。

かみさまのえにっき [かみさまのにっき]

3月30日


今日は、万桜に貰った入場券で真由と一緒にひらかたパークに居る。


昨日の夜、真由に電話するとすぐに快諾してくれた。


待ち合わせは、開園時間の30分前の9時30分。

枚方市駅で、待ち合わせをした。


「神様、私の最後のお願いを聞いてくれる?」


真由が、ひらかたパークの前で余の服の裾を掴む。


「なんだ?」

「今日だけ……今日だけでいいから私の恋人になってください」


恋人か……
でも、一日だけならいいか……
余は、そう思って軽くうなずいた。


「……いいぞ」

「ホントに?」

「ああ……」


真由は、嬉しそうに余の手を握り締める。


「恋人繋ぎ……」


真由は、頬を赤らめて笑った。
これくらいいいか……


余たちは、ひらかたパークに入園し色んなアスレチックに乗った。

ジェットコースターにメリーゴーランドに急流すべり。


どれも子供騙しに近かったが、余には、全てが新鮮に感じた。


「真由よ」

「なーに?神様」

「余のどこがいいのだ?」

「わかんない」

「うむ?」

「わかんないけど、有名な占い師さんに占ってもらったんだ。
 運命の人が、空から降ってくるって……」

「うむ……」

「最初は、信じれなかったけど……
 本当に人が降ってきて……それが、神様だったんだ」

「そうか……」

「最初は、こんな偉そうな人イヤだって思ったんだけど……
 気づいていたら好きになっていた」

「そうか……」


余は、何も出来ない自分が歯がゆかった。


「神様は、私のこと好き?
 それともまだ……」

「そうだな。
 好きか嫌いかと聞かれたら好きだ」

「……ホントに?」

「ああ……
 一度しかしないぞ」

「え?」


余は、ゆっくりと真由の唇に自分の唇を当てた。
サヨナラだ、真由。


※この物語は、フィクションです。


かみさまのにっき [かみさまのにっき]

3月29日

木曜日。
余が天界へ戻るまで今日を入れて3日となった。

余は、荷物を整理していた。

インターフォンが鳴る。

誰だ?

余は、ドアを開けるとそこには、万桜が居た。


「なんだ、万桜か……」

「荷物整理手伝おうか?」

「いや……
 もうあらかた片付いている。
 そもそも余は、身一つで現世に来たからな……
 持って帰るモノは数少ない」

「そうなの?」

「ああ……」

「じゃ、これあげる」


万桜は、そう言ってチケットを2枚、余に渡した。


「なんだ?
 これは……?
 ひらかたパーク?」


余は、チケットに書かれた文字を読んだ。


「うん。
 明日で現世は、最後なんでしょ?」

「ああ」

「真由ちゃんと思い出を作って来なさい」

「……どうして、真由なんだ?」

「気づかないの?
 真由ちゃんの気持ち」

「わかっている。
 だが、余にかかわるとろくなことにはならんからな……
 余が、現世を去る時、皆の記憶を消そうかと思う」

「え……?」

「それが、一番だと思うからな」

「……」

「だから思い出なんて作っても……」

「それでも、今の真由ちゃんは、救われるわ。
 記憶は消せても思い出は消えないものだから……」

「まぁ、主がそこまで言うのなら行こう。
 世話をかけてすまないな」

「幼馴染のよしみよ」

「ありがとう」


余が、礼を言うと万桜は、ニッコリと笑った。


「どうした?」

「貴方、現世に来て変わったわね」

「そうか?」

「ええ。」
 優しくなったし、表情も豊かになった。
 いいことよ


真由のおかげかもな……

余は、ふとそんなことが頭をよぎった。


※この物語は、フィクションです。


かみさまのにっき [かみさまのにっき]

3月28日


昨日の夜。

余は、真由と外食に行った。

回転寿司と言われる場所に行った。
1皿100円じゃない、回転寿司だ。

ものによれば1皿、800円する。


余は、それを真由にご馳走したくてそこに向かった。

真由は、遠慮していたが、余も男だ。
これくらいの出費などへっちゃらだ。


それにネタも美味い。


一番うまかったのが、マグロの串焼きだ。
塩コショウをかけて食べた。


「真由、お腹は膨れたか?」

「……うん。
 でも、いいの?このお店高いよ?」

「なにを言っている。
 余は、神だぞ。
 この店くらい毎晩来れるくらいの収入はある」

「え?
 神様って、そんなに貰ってるの?」

「時給1800円だ」

「えっと、それは、高いのかな?少ないのかな?」

「さぁな。
 1日12時間労働だから、単純計算で21600円になる」


余は、笑いながら茶をすする。


「す、凄い……
 交通費はでるの?」

「自宅で仕事だからな……
 あ、でも出張費は、きちんと出るぞ」

「そうなんだ……
 神様、凄いんだね」

「うん?」

「きちんと仕事してる……
 私も将来のこと考えなくちゃ……」

「真由は、巫女になるんじゃないのか?」

「巫女になりたいけど、家を継ぐには私を貰ってくれる人を見つけないと……」

「真由なら、いくらでもいるさ……」

「私は……」


真由は、そこまで言いかけて口を閉ざした。
何が言いたいのかわかる。
だけど、余には叶えてやれることのできないモノだ。


「じゃ、会計を済ませるぞ」

「うん」

「この後、カラオケにでも行くか?」

「え?」

「行ったことがないんだ。
 一度行ってみたい」

「うん!」


真由が、笑う。
どうかこの笑顔がずっと続きますように……


※この物語は、フィクションです。


かみさまのにっき [かみさまのにっき]

3月27日


昨日のユニバーサルスタジオジャパンは、楽しかった。
元ネタが、わからないモノも沢山あったが、それなにり楽しめた。


「今日、ウチに来ない?」

「うん?」

「神様が、遠い場所に行くことを家族に伝えたんだ。
 そしたら、みんな神様にお別れを言いたいって……」

「そうか……」

「ダメかな?」


そう言えば、真由には世話になった。
現世でも、うまくやりくりできたのは真由のおかげだろう。
真由のわがままも聞けるものなら聞いてやろう。
余は、そう思うとゆっくりと頷いた。


「いいぞ」

「ホントに?」

「ああ……」


真由は、余の体を抱きしめた。


「ありがとう」


真由は、そう言って肩を震わせた。


余は、真由の頭を撫でた。

抱きしめることは出来ない。
余が出来ることはそれだけだった。


余は、真由の家に向かった。


真由の父親と母親が温かく俺を迎え入れてくれる。


「神様、いらっしゃい」

「ああ、お邪魔します」


居間に案内された余は、真由の父親に挨拶をされる。
真由の父親が2人きりで話したいことがあるとのことなので、余はそれに付き合う。


「……遠い場所って、海外へ行くのかい?」

「まぁ、そんなところです……」

「……」

「……」

「違うだろう?
 君は、神界へ帰るのではないのかい?」

「どうしてそれを?」


尋ねてみたモノのさほど不思議な気持ちはわかなかった。


「こう見えて、俺も神主だからね。
 君が人間じゃないことくらいわかっていたさ」

「そうか……
 そうだな……」

「真由は、そのことを知っているのかい?」

「ああ、全部話している」

「なら、構わない。
 あの子の我がままに付き合わせてすまないな」

「いえ、余も真由には助けられてばかりでした」

「ありがとう」


真由の父親が笑顔を見せる。
余は、真由に何が出来るのだろうか……?

※この物語は、フィクションです。


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