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夏に潜むもの [ネタ]

夏が来れば思い出す。

あの不快な感覚。
不快な気持ち。

彼女を殺した感触。

あれは、いつになっても忘れない。


彼女は、毎日キスを求めてきた。


俺は、それが無性に嫌だった。


キスなんていいもんじゃない。

俺のとって彼女のキスは、虫唾が走るような感覚に等しかった。

だから殺した。


何回も……
何回も……
何回も……

叩こうとした。

頭を足を体を……


だけど、彼女はなかなか死ななかった。
もとい当たらなかった。

モノを投げたこともある。
だけど死なない。

嫌がらせで水をかけたこともある。
だけど、死なない。

水がダメなら熱湯をかけたこともある。
だけど死なない。


だから、彼女が一番油断している瞬間に殺すことにした。

彼女が、俺にキスをする。
そのキスをしている間に、彼女を叩いた。

最初は、不思議そうに俺の攻撃をかわした。

でも、彼女はすぐに俺の頬にキスをする。

口にされるのは絶対嫌だった。

だから、避けた。

彼女のキスを。
彼女の体を……


俺は、全力で避けた。

そして、俺は彼女の体を力強くたたいた。

彼女は、体を痙攣させながらこう呟く。


「お腹には、貴方の血が通った子がいるのよ?」


俺は、何も答えない。
俺の血が通ったその子供など見たくもない。

だから、殺した。

キスくらいなんどでもされてもいいかもしれない。

でも、彼女の声が、彼女の動きが、彼女の全てが……

不快だった。

だから、殺した。


今、俺の部屋には新たなる彼女がいる。

でも、俺は思う。

彼女もまたいつかは殺すのだろう。

次の日も、次の日も、次の日も……


人は、彼女のことをこう言うだろう。


【蚊】と……
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