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ギフト(小説) [ギフト(小説)]

2013年01月23日


曇り。

今日は、同じ病院で別室を用意された夕貴さんの病室に向かった。
破壊された部屋はすでに改装工事が、行われていた。

夕貴さんの部屋に着くと夕貴さんは、編み物をしていた。


「何を作ってるの?」


俺は、近くに会った椅子に座り夕貴さんに尋ねた。
夕貴さんは、手を止めてフィリップに文字を書く。


【マフラー編んでます】

「へぇー」


御幸にだろうな。
でも、フィリップを使ってくれていることに少し喜びを覚える。


「瑞樹君、今日も引きこもっているの?」


俺が、夕貴さんに尋ねる。
すると夕貴さんが、首を横に振る。


【俺が、姉ちゃんを護る!って言って家を出ました】


夕貴さんが、フィリップにそう書いていた。
字が震えている。


「それって、不味いんじゃ……」


俺が、椅子から立ち上がろうとすると夕貴さんが俺の服を掴む。
夕貴さんが涙を流している。
夕貴さんは、フィリップに文字を書く。


【行かないで】

「でも……
 瑞樹君が……」


俺が、そこまで言いかけると水菜議員が病室に入ってきた。


「その件なら、問題ない。
 すでに手を打っている」

「水菜議員?」

「瑞樹の件は、優秀な刑事と御幸君に任せてある。
 亜金君は、夕貴の護衛を務めてくれ」

「護衛って……」

「君は、御幸君と違って信用できる」

「それ、どういう意味ですか?」

「君は、モテないだろう?
 夕貴にちょっかいを掛けても夕貴がまず相手にしないだろう。
 私は、君を信用しているぞ」


水菜議員はそう言って笑った。
なんか、バカにされたような気分だ。
俺が、ガッカリしていると夕貴さんが笑う。
そして、フィリップに文字を書く。


【私は、御幸さん一筋ですから……】


告白していないのにフラれた気分だ。

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