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まっしろなティスタメント ブログトップ
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まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]

2012年11月05日


雨が降ったりやんだりする月曜日。
今日の天気は、1日こんな感じなのだろうか?

美穂は仕事に行き、隼人君たちは院内学級で授業を受けている。

院内学級も、知っている顔は、隼人君と愛ちゃんだけになちゃったな。


人数も結構減った感じもする。


これが、いいことなのか悪いことなのかは、わからない。


元太君のように退院したのか、歩ちゃんや充君のように亡くなったのか……


元気になって退院しているのならいいな。


俺は、そんなことを思いながら、院内学級の教室から離れた。


待合室に行くと千代田さんと千春ちゃん銘先生が、待合室で休憩していた。

俺は、声をかけてみることにした。
聞きたいことがあったからだ……


「あ、おはようございます」

「亜金さん、おはよー」


千春ちゃんが、元気に手を振る。


「あのちょっと尋ねたいことが……」

「なんでしょうか?」


銘先生が、首をかしげる。


「望遠鏡とかって、ありますか?」

「望遠鏡?
 あるけど何に使うの?」


俺の質問に千代田さんが答える。


「17日に流星群が、見れるみたいなのでその準備がしたいのです」

「なるほど……
 そういえば、愛ちゃんが楽しみにしてるって言っていたような」


千春ちゃんが、にっこりと笑う。


「そっか……」

「流れ星にお願いしたいことがあるんだって」

「へぇ……」

「恋の悩みだったりして?」


千春ちゃんが悪戯っぽく笑う。


「恋は、まだ早いんじゃない?」


俺が、そう言うと千代田さんが答える。


「女の子の初恋は早いよ。
 しかも年上の場合が多いわ」

「え?
 愛ちゃんが好きな人って隼人君じゃないんですか?」

「私の見立てだと、もう1人いるわね」

「誰?」

「そういうのは聞くのはダ・メ・だ・ぞ」


千春ちゃんが、そういうと俺の鼻をつついた。


「じゃ、私たちは仕事があるから行くね。
 望遠鏡の方は、レンタルの申請しとくから……」


千春ちゃんたちは、そう言って俺に手を振ってその場を離れた。
女の子の初恋って早いんだな。
俺の初恋はいつだろう?
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まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]

2012年11月04日


昨日は、結局食事をしてそのまま美穂と病院に帰った。
何もしないことに美穂は、何も言わなかった。

怒りもしない。
笑いもしない。

ただ、いつもと違うことは眠るとき手をつないで一緒に眠った。

美穂の手が温かく。
心が少し落ち着いた。


ゆっくりと休み7時ごろに起床。
暇なのでパソコンのWindowsのバージョンを7から8にバージョンアップしてみた。

起動が、もっさり……
起動画面が少し地味。

これもコストダウンの影響なのだろうか?


「なんか、ダサいね」


美穂が、そういって笑う。


「うん、ダサいな。
 流石6080円のOS……
 でも、キャンペーンが終わって値上げしてこの起動画面……
 がっかりするだろうな」

「まぁ、その辺はいいんじゃないかな?
 使い慣れたら8もいいんじゃない?」

「美穂ってPCに詳しいの?」

「仕事で使う程度だよ」

「今更だけど美穂の仕事って何?」

「お父さんの病院で総務をやってるんだ」

「そうなんだ……」


派遣じゃないのか……


「そうだよー。
 休みの優遇聴くし給料良いし結構いい病院だよ。
 亜金も退院したら、ウチの病院で働いてみない?」

「え?」

「考えてといてよ」

「うん。
 でも、俺何もできないよ?」

「最初は、何もできないもんだよ。
 徐々に仕事を覚えればいいよ」

「うん。
 そっか……」

「そうそう。
 亜金は、何でも諦めすぎなんだよ。
 物事って亜金が思っているほど悪いもんじゃないんだよ」


そこから暫く俺は美穂の説教を受けた。
なんだろ……

美穂から説教をくらうのは久しぶりのようなきがする。
でも、心地よかった。

こういうのも悪くないかもね……

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まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]

2012年11月03日


当てのない旅……
退屈にさせないようにと一生懸命動く俺……

美穂は、嫌な顔をひとつせず、俺についてきてくれた。

俺が、車の運転ができたならドライブに誘っただろう。
でも、俺はペーパーでゴールド。
運転は、多分もうしない。
出来ないだろう……

美穂は、運転できる。
でも、美穂に運転してもらうのは、気が引ける。

だから、俺たちは京都の街を途方に歩く。
電車に乗りバスに乗り寺めぐり。


ひたすら寺を歩いた。
そして、今。
少し早い夕食をホテルの屋上で食べている。


「亜金は、観光がしたかったの?」


美穂の質問に俺は、戸惑う。
ホント、俺は何がしたいんだろう……


「んー。
 美穂と色んなところを見てみたかったんだ」

「ふーん。
 今日は、オオカミになるの?」

「オオカミ?」

「ホテルに来て食事するってことはそういうことじゃないの?」

「あー。
 それは、ない」

「そっか」


美穂は、少し残念そうな顔をした。


「なんていうかさ……
 いい加減な気持ちでしたくないんだ」

「真面目なんだね」

「んー。
 美穂はどうなの?
 中途半端な気持ちで俺に抱かれて嬉しい?」

「嬉しくはないけど……
 ずっと一緒にいるのにちっとも抱いてくれないんじゃ女としての自信を失うかな」


美穂が、笑う。
苦笑いだ。

抱けるのなら抱きたい。
一昨日で29歳になった。

そろそろ捨てなければいけないものでもあると思う。
でも、焦って捨てていいことは、あるのだろうか?
答えは、俺にはわからない。


「そういうもん?」

「うん」

「でも、きちんとお互いのことを好きになってからしようよ」

「うん。
 そうだね」


美穂の表情が少し和らぐ。
それは、安堵の表情だろうか……?
俺には、わからない。
なにもわからない。

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まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]

2012年11月02日


さて、俺は究極の選択をしようと思う。
明日の晩、美穂を食事に誘うかどうか……
ご飯食べる前にデートをする予定なんだけど……

こういうデートって俺はしたことがない。

ぶらりと女の子と一緒に遊んだことはある。
でも、真面目なデートってしたことがない。
いや、デートって真面目にすべきものなのかさえわからない。


「で、話って何かな?」


俺は、美穂を病院の屋上に呼びだした。
美穂は、目をキラキラと輝かせている。


「明日、時間ある?」

「時間?」

「うん。
 出来れば1日」

「空いてるよ?」

「よかったらどっか出掛けないか?」

「え?」


美穂の目が丸くなる。


「デートしない?」

「え?え?え?」


美穂の顔が、だんだん赤くなる。

俺は、実感した。
やっぱりこの子、美穂じゃない。
俺の知っている美穂は、こんな顔をしない。


「ダメかな?」


何が目的かわからない。
でも、俺はこの美穂に感謝している。
だからいいよね?美穂。
この子と少し遊ぶくらい……


俺は、空を見上げて美穂に尋ねた。

きっと本物の美穂ならこういうだろう。


「勝手にしろ」


だから、俺は勝手にすることにした。


「いいの?」

「うん」

「あはは……
 嬉しいな」


美穂の笑顔が少し引きつっている。


「どっか、行きたいところある?」

「え?
 それ私に聞くの?」


美穂が、ため息をつく。


「え?」

「亜金が、決めてよ。
 亜金がプランを決めて亜金の行きたい所に行こう。
 私は、何処にだってついていくから……♪」


美穂は、ニッコリと笑う。
俺は、やっぱりこの笑顔を護りたい。

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まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]

2012年11月01日


今日は、俺の誕生日。
婆ちゃんから1通の封筒が送られてきた。
中には、「誕生日おめでとう」と書かれた手紙と一緒に10万円が入っていた。

嬉しかった。


婆ちゃんにお礼のメールをしたけれど、返事は来ない。
何故なら、婆ちゃんは、メールの見方は知ってるけれど返信の仕方は、知らないからだ……

さて、この10万円何に使おうかな……

お金には、あんま困ってなかったりもする。
美穂が毎月5万円もの大金を小遣いとしてくれる。

あんま使ってないから20万円溜まり、今回の10万円がプラスされ27万円溜まることになる。

俺が、頭を悩ませていると、突如俺の病室のドアが広がり、大きなカボチャと小さなカボチャ2つが現れた。

もちろん、ドンキー・ホーテに売ってそうな、玩具のカボチャの仮面だ。


「トリック・ア・トリート!
 お菓子をくれなきゃ悪戯しちゃうぞー」


その声は、愛ちゃんと千春ちゃんだった。
もう1つのカボチャは、無言だ。


「ハロウィンは、昨日ですよ」

「え?」


千春ちゃんが、カボチャのマスクを取る。

愛ちゃんと隼人君もマスクを取る。
隼人君は、顔をそらしプルプルと震えている。


「隼人君は、もしかして確信犯?」

「うん。ハロウィンが、昨日なのは知っていたけれど……
 亜金さんが、どんな反応をするか見てみたかったんだ」

「そうか……
 まぁ、こんな反応だ」

「あ、あと亜金さん、誕生日おめでとー」


愛ちゃんが、そう言って駄菓子がいっぱい入った袋を俺に出してくれた。


「え?」


俺は、目を丸くさせて驚く。


「今日、亜金さんの誕生日だって、愛ちゃんと隼人君に言ったらプレゼントしたいって言うから昨日、みんなで、買に行ったんだー」

千春ちゃんが、そう言って笑う。


「そっか、みんなありがとう」

「えへへ」


愛ちゃんが笑う。


「うん?」

「夜は、美穂さんとデートするの?」

「え?」

「お泊りデートしちゃえ♪」


千春ちゃんが、そう言って笑う。


「子供たちの前で何を……」


俺は、苦笑いを浮かべる。


「僕たちに言えないことをするの?」


隼人君が鋭い質問をした。


「う……」


俺は、何も言えない言わない。
この隼人君は、確信犯だ……


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