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まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]
2012年10月26日
寒いですね。
もう、金曜日。
月日が経つのは早いモノで、もうすぐ29歳になる。
歳を重ねることに罪悪感……
これは、ある程度歳を取らないとわからないことだよね。
それを忘れるために本を読む。
マギだ、アラビアンナイトの世界観に似せた物語……
この作者、大高忍さんって言うのだけど、調べてみたら俺と同じ歳。
俺が、だらだらしている間、この人は、毎日絵をかいて頑張って賞を貰って仕事を貰える。
それって、並大抵の努力では出来ないことだと思う。
それに比べて俺は……
俺は、ため息をつく。
「ため息をつくと幸せが逃げちゃうよ」
美穂が、そう言って笑う。
「違うよ、美穂。
俺は、ため息をつくことにより負のオーラを吐きだし、幸せのオーラを取り入れようとしているんだ」
「何それ……」
美穂が笑う。
「さて、ちょっと歩ちゃんの様子を見てくるよ」
「あ、私も行くー」
俺と美穂は、一緒に歩ちゃんの病室に向かった。
部屋をノックして、返事が返って来たので入る。
稲穂さんが、辛そうに歩ちゃんを見つめている。
「歩ちゃん、遊びに来たぞー」
歩ちゃんの手が、ピクリと動く。
でも、目は開かない。
「歩ちゃん、眠っているみたいだね……」
美穂が、耳元で囁く。
「昨日の深夜、また急変して意識がなくなりました……」
「え?」
「もう、意識は回復しないそうです……」
「……え」
俺たちは、言葉を失った。
「今は、延命治療……
奇跡が、起きない限り意識は戻らないでしょう。
でも、声を掛けると手がピクリと動くんですよ」
稲穂さんが、そう言って優しく歩ちゃんの頭を撫でる。
俺は、ただそれを見てることしかできなかった。
俺は、無力だ……
寒いですね。
もう、金曜日。
月日が経つのは早いモノで、もうすぐ29歳になる。
歳を重ねることに罪悪感……
これは、ある程度歳を取らないとわからないことだよね。
それを忘れるために本を読む。
マギだ、アラビアンナイトの世界観に似せた物語……
この作者、大高忍さんって言うのだけど、調べてみたら俺と同じ歳。
俺が、だらだらしている間、この人は、毎日絵をかいて頑張って賞を貰って仕事を貰える。
それって、並大抵の努力では出来ないことだと思う。
それに比べて俺は……
俺は、ため息をつく。
「ため息をつくと幸せが逃げちゃうよ」
美穂が、そう言って笑う。
「違うよ、美穂。
俺は、ため息をつくことにより負のオーラを吐きだし、幸せのオーラを取り入れようとしているんだ」
「何それ……」
美穂が笑う。
「さて、ちょっと歩ちゃんの様子を見てくるよ」
「あ、私も行くー」
俺と美穂は、一緒に歩ちゃんの病室に向かった。
部屋をノックして、返事が返って来たので入る。
稲穂さんが、辛そうに歩ちゃんを見つめている。
「歩ちゃん、遊びに来たぞー」
歩ちゃんの手が、ピクリと動く。
でも、目は開かない。
「歩ちゃん、眠っているみたいだね……」
美穂が、耳元で囁く。
「昨日の深夜、また急変して意識がなくなりました……」
「え?」
「もう、意識は回復しないそうです……」
「……え」
俺たちは、言葉を失った。
「今は、延命治療……
奇跡が、起きない限り意識は戻らないでしょう。
でも、声を掛けると手がピクリと動くんですよ」
稲穂さんが、そう言って優しく歩ちゃんの頭を撫でる。
俺は、ただそれを見てることしかできなかった。
俺は、無力だ……
まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]
2012年10月25日
今日は、いい天気だったので、病院内の本屋に向かい……
マンガ「マギ」を14巻まで、大人買いしてしまった。
約6000円した。
美穂に昨日古本屋を見てもらったけど古本屋には、売ってなかったらしい。
流石、アニメ化された作品は違うね。
本屋に行っても、何冊か置いてなくて、店員さんに尋ねて倉庫から出してきてもらった。
店員さん優しい……
少し落ち着いてから本を読もうかと思う。
歩ちゃんは、絶対安静。
少し心配だから、歩ちゃんの部屋に向かった。
歩ちゃんは、静かに眠っていた。
稲穂さんが、歩ちゃんの手をぎゅっと握りしめていた。
「昨日の夜、ずっと貴方の話ばかりをしていたんですよ」
稲穂さんが、そう言って俺の方を見る・
「俺の話ですか?」
「はい」
「歩、貴方のことが好きみたいです」
「え?」
「初恋ですね……」
稲穂さんが、小さく笑った。
「そ、そんな……」
なんか、こそばゆい。
「私の初恋の人も年上の人だったんですよ?」
「え?」
「優しくて暖かくてみんなに好かれて……」
俺とは、正反対の人間だな。
俺が、そう思っていると稲穂さんが言葉を続ける。
「そう、貴方のような人です。」
俺は、すぐに反論した。
「俺は、そんな好かれる人間じゃないですよ」
「そうですか?」
「体中にシミが、あるでしょ?
これ、小さいころからあってよく虐められて泣いていました。
人から嫌われてばっかの人生ですよ。
だから、みんなには好かれてません」
「そうですか?
看護婦さんの中では、子煩悩で優しくて人気があるみたいですよ?」
「誰が、そんなことを……」
「千代田さんです」
「あの人か……」
「私も亜金さんのこと嫌いじゃないです。
美穂さんがいなかったら口説いてますよ」
「え?」
稲穂さんは、優しく微笑む。
その表情に俺は、一瞬どきりとしてしまった。
今日は、いい天気だったので、病院内の本屋に向かい……
マンガ「マギ」を14巻まで、大人買いしてしまった。
約6000円した。
美穂に昨日古本屋を見てもらったけど古本屋には、売ってなかったらしい。
流石、アニメ化された作品は違うね。
本屋に行っても、何冊か置いてなくて、店員さんに尋ねて倉庫から出してきてもらった。
店員さん優しい……
少し落ち着いてから本を読もうかと思う。
歩ちゃんは、絶対安静。
少し心配だから、歩ちゃんの部屋に向かった。
歩ちゃんは、静かに眠っていた。
稲穂さんが、歩ちゃんの手をぎゅっと握りしめていた。
「昨日の夜、ずっと貴方の話ばかりをしていたんですよ」
稲穂さんが、そう言って俺の方を見る・
「俺の話ですか?」
「はい」
「歩、貴方のことが好きみたいです」
「え?」
「初恋ですね……」
稲穂さんが、小さく笑った。
「そ、そんな……」
なんか、こそばゆい。
「私の初恋の人も年上の人だったんですよ?」
「え?」
「優しくて暖かくてみんなに好かれて……」
俺とは、正反対の人間だな。
俺が、そう思っていると稲穂さんが言葉を続ける。
「そう、貴方のような人です。」
俺は、すぐに反論した。
「俺は、そんな好かれる人間じゃないですよ」
「そうですか?」
「体中にシミが、あるでしょ?
これ、小さいころからあってよく虐められて泣いていました。
人から嫌われてばっかの人生ですよ。
だから、みんなには好かれてません」
「そうですか?
看護婦さんの中では、子煩悩で優しくて人気があるみたいですよ?」
「誰が、そんなことを……」
「千代田さんです」
「あの人か……」
「私も亜金さんのこと嫌いじゃないです。
美穂さんがいなかったら口説いてますよ」
「え?」
稲穂さんは、優しく微笑む。
その表情に俺は、一瞬どきりとしてしまった。
まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]
2012年10月24日
水曜 おはよう
何月何日 晴れー
今日、美穂は休暇を取り、外に出ようとことになった。
美穂曰く。
「亜金は、ずっと病院に居すぎ!
もっと外に出なくちゃ!」
だそうだ……
そんな訳で、さっきまで近所の公園を美穂と散歩していた。
散歩の帰りに昼食の巻き寿司を買って帰った。
俺たちは、病室に戻ると巻寿司を食べ終えたころ、隼人君と愛ちゃんが部屋にやって来た。
「あ、亜金さん、帰ってきてる」
愛ちゃんが、嬉しそうに笑う。
「なに?
どうした?」
「歩ちゃん、目を覚ましたよ」
愛ちゃんの一言で俺は、俺の心はぱっと明るくなる。
「亜金、お見舞い!」
美穂は、そう言うと俺たちは、速足で歩ちゃんの部屋に向かった。
歩ちゃんの体はチューブに繋がったままでうっすらと目が明いていた。
この前と違う。
稲穂さんも、辛そうな目で歩ちゃんを見ている。
「お兄さん……」
歩ちゃんの声が、今にも消えそうだ。
「ほら、亜金、何か喋って……」
美穂が、俺の背中を押す。
「えっと……」
俺は、戸惑う。
何を言ったらいいかが、わからない。
「亜金さん」
愛ちゃんが、そう言って、お寿司についていたワサビを俺に渡す。
愛ちゃん、これで俺に何をしろと……?
「ギャグだ!
面白いギャグをやるのよ!」
美穂が、そう言ったので俺は一生懸命考えた。
「今日は、一段と冷えますね。
わー。さびー」
沈黙する一同。
ただ、歩ちゃんだけが、ニッコリと笑ってくれた。
「お兄さん、変なのー」
ただ、その笑顔が心に穴をあけた。
水曜 おはよう
何月何日 晴れー
今日、美穂は休暇を取り、外に出ようとことになった。
美穂曰く。
「亜金は、ずっと病院に居すぎ!
もっと外に出なくちゃ!」
だそうだ……
そんな訳で、さっきまで近所の公園を美穂と散歩していた。
散歩の帰りに昼食の巻き寿司を買って帰った。
俺たちは、病室に戻ると巻寿司を食べ終えたころ、隼人君と愛ちゃんが部屋にやって来た。
「あ、亜金さん、帰ってきてる」
愛ちゃんが、嬉しそうに笑う。
「なに?
どうした?」
「歩ちゃん、目を覚ましたよ」
愛ちゃんの一言で俺は、俺の心はぱっと明るくなる。
「亜金、お見舞い!」
美穂は、そう言うと俺たちは、速足で歩ちゃんの部屋に向かった。
歩ちゃんの体はチューブに繋がったままでうっすらと目が明いていた。
この前と違う。
稲穂さんも、辛そうな目で歩ちゃんを見ている。
「お兄さん……」
歩ちゃんの声が、今にも消えそうだ。
「ほら、亜金、何か喋って……」
美穂が、俺の背中を押す。
「えっと……」
俺は、戸惑う。
何を言ったらいいかが、わからない。
「亜金さん」
愛ちゃんが、そう言って、お寿司についていたワサビを俺に渡す。
愛ちゃん、これで俺に何をしろと……?
「ギャグだ!
面白いギャグをやるのよ!」
美穂が、そう言ったので俺は一生懸命考えた。
「今日は、一段と冷えますね。
わー。さびー」
沈黙する一同。
ただ、歩ちゃんだけが、ニッコリと笑ってくれた。
「お兄さん、変なのー」
ただ、その笑顔が心に穴をあけた。
まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]
2012年10月23日
雨。
今日は、雨の音で目が覚める。
雨の匂いは好きだ。
雨の日は良く眠れる。
だけど、今日は違った。
二度寝をしようと思ったけど出来なかった。
俺は、体を起こした。
「ん……?
亜金、起きた?」
美穂は、俺の方を見て笑う。
「ああ……
雨、激しいね」
「うん」
「ちょっと歩ちゃんの様子見てくる……」
「あ、私も行く……」
美穂は、そう言ってベッドから降りる。
「じゃ、行こうか……」
俺もベッドから降りた。
すると美穂が、俺の手を握る。
「え?」
「仲良しこよし♪」
美穂が、笑う。
お俺は苦笑いを浮かべたあと、美穂と手を繋いで歩ちゃんの病室へと向かった。
歩ちゃんは、個室で眠っている。
治療は、なんとか終わったけど、銘さん曰く、意識が回復するかしないかの確率は五分と五分らしい。
充君に続いて歩ちゃんまで?
俺は、ただ歩ちゃんの姿を見ることしか出来なかった。
歩ちゃんの部屋を出ると稲穂さんが、立っていた。
「亜金さん来てくれたんですね……」
「あ、おはようございます」
稲穂さんは、俺の手に視線を移す。
「彼女さん?」
稲穂さんが、苦笑いを浮かべる。
どうして、苦笑い?
「あの貴方は?
もしかして、亜金の新しい浮気相手?」
美穂が、稲穂さんを睨む。
「えっと、歩ちゃんのお母さんだよ」
俺が、そう言うと美穂は安堵のため息をつく。
「そう……
なら、いいけど……」
2人は、軽く自己紹介を済ませ俺と美穂は俺の病室に戻った。
雨。
今日は、雨の音で目が覚める。
雨の匂いは好きだ。
雨の日は良く眠れる。
だけど、今日は違った。
二度寝をしようと思ったけど出来なかった。
俺は、体を起こした。
「ん……?
亜金、起きた?」
美穂は、俺の方を見て笑う。
「ああ……
雨、激しいね」
「うん」
「ちょっと歩ちゃんの様子見てくる……」
「あ、私も行く……」
美穂は、そう言ってベッドから降りる。
「じゃ、行こうか……」
俺もベッドから降りた。
すると美穂が、俺の手を握る。
「え?」
「仲良しこよし♪」
美穂が、笑う。
お俺は苦笑いを浮かべたあと、美穂と手を繋いで歩ちゃんの病室へと向かった。
歩ちゃんは、個室で眠っている。
治療は、なんとか終わったけど、銘さん曰く、意識が回復するかしないかの確率は五分と五分らしい。
充君に続いて歩ちゃんまで?
俺は、ただ歩ちゃんの姿を見ることしか出来なかった。
歩ちゃんの部屋を出ると稲穂さんが、立っていた。
「亜金さん来てくれたんですね……」
「あ、おはようございます」
稲穂さんは、俺の手に視線を移す。
「彼女さん?」
稲穂さんが、苦笑いを浮かべる。
どうして、苦笑い?
「あの貴方は?
もしかして、亜金の新しい浮気相手?」
美穂が、稲穂さんを睨む。
「えっと、歩ちゃんのお母さんだよ」
俺が、そう言うと美穂は安堵のため息をつく。
「そう……
なら、いいけど……」
2人は、軽く自己紹介を済ませ俺と美穂は俺の病室に戻った。
まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]
2012年10月22日
月曜日は、憂鬱のはじまりと言うけれど……
俺にとっては暇の始まりだ。
美穂も仕事だしね……
今の美穂は、どんな仕事をしているのだろう。
たまにお小遣いをくれるけど……
結構羽振りがいいみたいだ。
お土産もよくくれる。
シュークリームだけど、ローソンのシュークリームとは、比べられないくらい美味しい。
お土産は、シュークリームだけではなくエクレアとか、クッキーとか俺が飽きない程度に持ってきてくれる。
ホント、気の利く女になったモノだ……
ホントにね……
俺が、欲しそうにしているモノが、あれば大抵のモノなら買ってくれる。
と言ってもほとんどは食べ物なんだけど……
朝、美穂が出勤したあとで、待合室をブラブラしていたら稲穂さんが、青い顔をして歩いていた。
声を掛けようか迷ったけど、俺は声を掛けることにした。
「稲穂さん!」
「亜金さん……」
稲穂さんは、俺の姿を見るなりその場で泣き崩れた。
「何があったのですか?」
「歩の病状が悪化しました……」
「悪化?」
「さっき、朝食を食べているときに倒れて……
今、集中治療室にいます……」
「そうですか……」
何を言ってあげたらいいかわからない。
何を言えばいいのかもわからない。
「夫にも先立たれて、歩にも先立たれたら、私……」
稲穂さんが、涙を零す。
大丈夫。
そう言ってあげたかった……
だけど俺は、そんなことを言える自信が無かった。
充君にも「大丈夫」と言った。
だけど、充君はあっけなく逝ってしまった。
命の儚さが、わかった。
だから、わかるんだ。
「大丈夫」
その言葉の無責任さを……
でも、それでも俺は言わなくちゃダメなんだ……
「歩ちゃん、よくなるといいですね」
稲穂さんは、頷く。
「大丈夫ですよ。
歩ちゃんは、強い子だから……」
「ありがとうございます」
稲穂さんは、暫くその場で泣き続けた。
月曜日は、憂鬱のはじまりと言うけれど……
俺にとっては暇の始まりだ。
美穂も仕事だしね……
今の美穂は、どんな仕事をしているのだろう。
たまにお小遣いをくれるけど……
結構羽振りがいいみたいだ。
お土産もよくくれる。
シュークリームだけど、ローソンのシュークリームとは、比べられないくらい美味しい。
お土産は、シュークリームだけではなくエクレアとか、クッキーとか俺が飽きない程度に持ってきてくれる。
ホント、気の利く女になったモノだ……
ホントにね……
俺が、欲しそうにしているモノが、あれば大抵のモノなら買ってくれる。
と言ってもほとんどは食べ物なんだけど……
朝、美穂が出勤したあとで、待合室をブラブラしていたら稲穂さんが、青い顔をして歩いていた。
声を掛けようか迷ったけど、俺は声を掛けることにした。
「稲穂さん!」
「亜金さん……」
稲穂さんは、俺の姿を見るなりその場で泣き崩れた。
「何があったのですか?」
「歩の病状が悪化しました……」
「悪化?」
「さっき、朝食を食べているときに倒れて……
今、集中治療室にいます……」
「そうですか……」
何を言ってあげたらいいかわからない。
何を言えばいいのかもわからない。
「夫にも先立たれて、歩にも先立たれたら、私……」
稲穂さんが、涙を零す。
大丈夫。
そう言ってあげたかった……
だけど俺は、そんなことを言える自信が無かった。
充君にも「大丈夫」と言った。
だけど、充君はあっけなく逝ってしまった。
命の儚さが、わかった。
だから、わかるんだ。
「大丈夫」
その言葉の無責任さを……
でも、それでも俺は言わなくちゃダメなんだ……
「歩ちゃん、よくなるといいですね」
稲穂さんは、頷く。
「大丈夫ですよ。
歩ちゃんは、強い子だから……」
「ありがとうございます」
稲穂さんは、暫くその場で泣き続けた。