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小説:余命宣告 [余命宣告]

12月24日


今日は、クリスマスイブ。
小さな小さな奇跡が起きました。
世界にとっては、ささやかな奇跡だけど。
俺達にとっては、大きな奇跡だった。

奇跡のベルと共に、愛ちゃんの目が覚めた。


「亜金さーん!」


千春さんが、病院の廊下を走り、俺の病室のドアをノックした。
俺は、仕事が終わりはるかさんお手製のクリスマスケーキ(ティラミス)を食べている時だった。


「あ、千春さん。
 メリークリスマス」


俺は、ケーキを頬張りクリスマスのあいさつをした。


「メリークリスマス♪
 って、それどころじゃないよ!
 愛ちゃんが、愛ちゃんが!」

「もしかして……」

「うん!
 目を覚ましたよ!」


俺とはるかさんは、ケーキを置いて愛ちゃんの病室へと走った。


「あ、お兄ちゃん。
 こんばんわ」

「こんばんわ!」

「えへへ。
 手術成功したみたいだね」
 
 
愛ちゃんは、元気なさそうに答えた。


「物凄く嬉しいよ」

「ありがとう。
 今日、クリスマスイブなんだってね……
 サンタさん、今年は何をくれるのかな?」

「愛ちゃんの好きなモノだよ」

「えへへ……
 なんだろ……」


愛ちゃんは、そう言うと再び寝息をたてて眠りについた。


「今は、ちょっと疲れているみたい……
 今は、そっと寝かせてあげましょう」


銘さんが、そう言って苦笑いを浮かべた。


「亜金さん、はるかさん。
 ありがとうございます」


愛ちゃんのお母さんとお父さんが俺達に頭を下げる。


「いえ、俺達は何も……」


そう、俺達は何もしていない。
看病したのも一番心配したのも、愛ちゃんのお母さんとお父さんだ……

愛ちゃんが、目を覚ましてよかった。
やっぱり、クリスマスは、奇跡が起きる日なんですね。
俺の病気も治らないかな……



では、明日へ続きます。

※この物語は、フィクションです。
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