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亜金友人帳 [亜金友人帳]

5月17日


頭が重い。
体がだるい。


幸い明日まで学校は休みだ。
今日は、外に出ずに家に引きこもろう……


俺は、ゆっくりと目を閉じた。


ひんやりとした空気が、俺の体を包み込む。

これは、なんだろう……?

俺は、そう思い目を開ける。
そこには、白い着物を着た小さな女の子がうずくまっていた。


なんだ?
これは、夢……?
玉藻の時と同じだ。
あの時の感覚に似ている……


「ひっく……ひっく……」


女の子が泣いている。


「お前、妖怪だな?」


ライフルを持った男が、その女の子に銃口を向ける。

女の子の顔は恐怖におののき、ガタガタと震えている。


「妖怪は殺さなくちゃいけない」


男は、そう言ってライフルの引き金に手を当てる。


「何してるの?」


女の子と同じ年くらいの男の子が現れる。
男の子は、赤いマフラーをつけていた。


「坊ちゃま。
 妖怪です。妖怪は悪です。殺さなくちゃいけません」


男が、そう言うと男の子は、すぐに返答する。


「子供でしょ?」

「大人になれば人を殺めます」

「私、誰も殺さないから……
 だから、殺さないで……」


女の子は、涙を流しながら漢に訴える。


「妖怪を見逃したら、私が旦那様に叱られます」

「怒られるんですむのなら、殺さないで上げてよ。
 命だよ?命は大事なんだよ?」


男の子の目はまっすぐとそしてしっかりと男を見ていた。


「坊ちゃま……」


男は、一呼吸入れて言葉を続けた。


「わかりました。
 この件は、私と坊ちゃまの2人だけの秘密ですよ?」

「ああ」


男の子は、そう言って女の子の頭に手を当てた。


「お前の体冷たいな」


男の子は、そう言って自分がつけていた赤いマフラーを女の子の首に巻いた。


「あ……ありがとう」

「さぁ、帰っていいぞ」


男の子は、ニッコリと笑った。


※この物語は、フィクションです。

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