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小説:余命宣告 [余命宣告]

12月1日


もう12月ですね。
寒いです。

人肌恋しい季節になりますが……
はるかさんが、人肌のみは、提供してくれます。


でも、それ以上の事は……


いや、頼めば出来るのかも知れませんが……
それは、叶いません。


俺は、はるかさんの事が好きですが……
はるかさんは、俺の事が好きかどうかは、わかりません。

こういうのって、好きな人同士がするモノだし……
一方的に押すのは、ダメですよね。

まぁ、モテル人とモテナイ人の違いは、行動力の差だと思っています。

つまり、俺でも行動すればはるかさんに好きになってもらえるかもしれない。

だけど、それは、どうだろう?

もしも俺が、健康でこれからも長く生きれるのなら行動してもいいと思う。
だけど俺は、もうすぐ死ぬ。
いつ死んでもおかしくない。
そんな状態で、はるかさんに好きになってもらっても俺が死んだらその悲しみは倍を超えるだろう。

辛いけど本当の事なんだ。


ふぅ……・
そう考えると切なくなった。
なんか最近テンションが上がらない。


「うーん。
 テンションミニマム……」

「……小説は、書けてはなさそうだね……」

「は、はるかさん?」


はるかさんが、そう言って俺のベッドの隣にある椅子に座っていた。


「いつから、そこへ?」

「ずっと居たよー」

「ごめん、気付かなかった……」

「何悩んでいるの?
 私に何でも相談しなさいな♪」

「悩むって言うか……
 なんて言うか……
 俺、もうすぐ死ぬんだなぁって思うと気持ちが参ってしまって……」

「亜金君は、死なない!
 私、わかるもん!」

「それでも、怖いんだ……
 いつ死ぬかわからない……
 もしかしたら、明日死ぬかも……」


俺が、そこまで言った所ではるかさんが、俺の唇にキスをした。


「それ以上は、言わせないよ」


はるかさんに、そう言われた気がした。
なので、俺は、黙ってそのキスに従った。


沈黙。


それが、ただひたすらに続いた。


続きは、明日。

※この物語は、フィクションです。
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小説:余命宣告 [余命宣告]

11月30日


今日は、早くに目が覚めた。
何をすることも無くただ公園で空を眺めていた。

空に浮かぶ雲が流れている。
流れ着く場所には、何があるのだろうか?
それは、誰にもわからない。

何かが欲しい自分がいる。
だけど何が欲しいのかわからない。


俺の心は、今、真っ白。
余命宣告されてから、もう1ヶ月が過ぎようとしている。
俺は、本当にあと2ケ月で、死ぬのだろうか……?
そんな実感なんて、全く湧かない。


死ぬ時は、行き成りがいいな……
昨日まで……いや、死ぬ直前までは、呑気に笑っていて……
自分が、いつ死ぬかはわからないでいて……
そう……だな……

はるかさんが、眠っている隣で死ぬのもいいかもしれない。
思いを寄せる女の子の傍で、その女の子の温もりを感じながら死んでいく。
それは、恐ろしいことだけど孤独ではない気がする……


俺は、空を見上げた。
肌寒い空を見上げた。

雲が流れている。
ゆっくりとゆっくりと時間をかけて流れている。
それが、とても切なかった。


「お兄ちゃん?」


俺は、その声で、我が帰った。
愛ちゃんだ……


「あれ?隼人君は?」

「まだ、寝てる」

「そっか……」

「お兄ちゃん、早起きだね」

「愛ちゃんも早起きだね」

「眠れなくて……」

「俺と一緒だ」

「お揃いだね♪」


愛ちゃんは、嬉しそうに笑った。


「ねぇ、お兄ちゃん」

「ん?」

「私達死なないよね?」

「ああ。
 死なないよ」

「じゃ、指きりしよう」

「え?」

「死なないように指きり」


愛ちゃんは、そう言って小指を出した。


「指きりげんまん……」


俺達は、ゆびきりをした。
お互い死なない約束。
お互い生きる約束。


小さくてもほんのりと心が暖かくなった。


明日へ続く。


※この物語は、フィクションです。
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小説:余命宣告 [余命宣告]

11月29日


昨日の夜も、はるかさんが、添い寝してくれました。
暖かかったけど、緊張して眠れませんでした。

俺を安心させる為に、やってくれているのでしょうが……
男なら眠れませんよね?

よっぽど場慣れしているのなら眠れるのでしょうが……

それは、さておき、今日は、年賀状のデザインを考えました。
もちろん、来年の年賀状です。
兎年なので、兎のワンポイントで作成しました。

素材は、ネットで拾いました。

病院なのにネットができるって、素晴らしいですよね。
子供達の中には、任地堂DSのwi-fiを使って世界中の子供達と交流している子も居るみたいです。

愛ちゃんや隼人君もその中の1人です。

なので、今日、バケモン(バケットモンスター)でバトルしました。

俺、完敗です。

隼人君も愛ちゃんも滅茶強いです。


隼人君が言いました。


「バケモン歴が、違うんだよ」


文字にすると厳しい響きですが……
言い方は、優しかったですよ?

負けたけど、まぁ、楽しかったです。


なんというか……


隼人君の、アルチュウが、強かったです。
あ、アルチュウと言っても、アルコール中毒の人の事じゃないですよ。
中華ネズミで、泣き声の語尾にアルをつけて鳴く電気ネズミの事です。
ゲームの世界って楽しいですよね。
いろんな発想が出来て……

俺も、頑張らなくちゃいけませんね。
妥当!アルチュウ!

と思って、今日半日バケモンをしていたら、シナリオを書くのを忘れてしまいました。
今から、シナリオを書かなくちゃ……ですね。

がんばります!


明日へ続く。


※この物語は、フィクションです。
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小説:余命宣告 [余命宣告]

11月28日


今日は、日曜日。
はるかさんは、朝、急な仕事が入り出かけてしまいました。
昨日の夜?

はい、何もありませんでしたよ。
はるかさんが、俺の体を抱きしめてくれました。
そして、そのまま、はるかさんは、熟睡。

結局、俺は何も出来ずそのままじっとしていました。
眠れないって、結構辛い。
昨日の夜から、指に力が入りません。
なんだろう……
この違和感は……

とりあえず、気分転換にと久しぶりに病院の中にある公園に行きました。

すると愛ちゃんが、駆け寄って来てくれました。


「あ、お兄ちゃん……
 お久しぶりー
 最近、見なかったけど元気してた?」

「あ、うん……」

「なんだ、死んでなかったのか……」


そう言って、隼人君が、現れた。


「死ぬとか、酷い事言っちゃダメ……」


愛ちゃんが、そう言って隼人君の方を見た。


「とりあえず、生きていてよかったよ」


隼人君は、そう言ってため息をついた。


「二人は、元気してたかい?」

「……うん。
 私達は、元気だよ……」


愛ちゃんが、少し寂しげに言った。


「何かあったのかい?」

「友達が、ヤバいんだ」


隼人君が、愛ちゃんの代わりに答えた。


「そっか……」

「今、集中治療室で眠っている……」


隼人君が、淡々と答えた。
俺は、なんて言ったらいいのかわからなかった。


「お兄ちゃんは、死なないでね……」


愛ちゃんが、涙目で俺の方を見た。


「ああ。
 死なないよ。
 まだ、死なない……」


そう……
俺は、まだ死なない!
死んでたまるか!


明日へ続く。


※この物語は、フィクションです。
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小説:余命宣告 [余命宣告]

11月27日


昼です。
結局昨日、はるかさんと一緒に寝ました。
と言っても、俺はやはり眠れません。
なのに、はるかさんは、爆睡。

信じられているって事なんでしょうが……

俺は、不眠症でなくても眠れなかったでしょう……
だって、隣で可愛い女の子が眠っているのですよ?

この状態で眠れる訳ないじゃないですか……


はるかさんは、朝起きると「眠れた?」と尋ねてきました。


「眠れませんでした……」


俺が、そう言うとはるかさんが、残念そうに言った。


「そっかー……
 私の力不足だね」

「そんなことないですよ」

「じゃ、エッチな事してみる?」

「え?」

「そしたら、少しは眠れるかもー」


いや、眠れないだろう……
でも、エッチなこと?
少しやってみたい気もする。


もうすぐ死ぬと言うのに俺の性欲は、まだ健在なんですね……
これは、良い事なのか悪いことなのか……
それは、わからない。
でも、『人は死が近づこうとする時、性欲が強くなる事がある』と聞いたことがあります。
俺のは、これに当たるのでしょうか……?


とりあえず、寒くはなかったです。
はるかさんの温もりが、温かかった。


「亜金君のここ大きくなってるね」


ここって、どこだー?


と叫びたかったけど、叫ばない事にしました。
だって、セクハラじゃん?

ってな訳で、明日に続きます。



※この物語は、フィクションです。
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