マイミクのtamaさんが殺されたそうです。

11月15日


今日は、晴れ。

今夜、茶虎の葬儀が行われる。

朝一に、泌尿器科に行き診察を受け、薬局に行き薬をもらった。

薬局でカレンダーを貰った。


見知らぬ男が立っていた。


その男は、俺を見るなりニヤリと笑い、こう言い放った。


「アンタ、枚方OL殺人事件の犯人のお兄さんですよね？」

「え？
　貴方、誰ですか？」

「申し遅れました……
　私は、こういうものです」


男は、そう言って一枚の名刺を俺に渡した。


「『車　重道（くるま　しげみち）』さん？」

「まぁ、しがないフリーライターです。
　で、貴方に聞きたいことがあります」

「なんでしょう？」

「どうして貴方が、犯人じゃないのでしょうね？」

「え？」

「最初、貴方が疑われていたはず……
　なのに、今は、弟さんが疑われている。
　おっと、弟さんは亡くなったんですよね？」


重道は、そう言って不敵に笑う。


「何が言いたいんですか？」

「私、真犯人を知っているんです。
　2000万頂けるのであれば、教えますよ？」


なんか、いやな感じのする人だ。


「……いや、結構」

「後悔しても知りませんよ？」

「……」


俺は、無視して家の中に入った。
なんなんだ？
アイツは……


俺の中の不快感が消えない。
でも、消さなきゃ。
今日は、茶虎の葬儀がある。
その準備もしなくちゃいけない。


弟の交友関係を知らない。

だから、連絡できない。
だから、身内だけの葬儀にしようと思う。

須山会館を借りての葬儀。


俺、一人ぼっちになったんだな……

誰も居なくなった家。
ただ、ただ、ただ、辛かった。


※この物語は、フィクションです。

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マイミクのtamaさんが殺されたそうです。

11月14日


今日は、内科に行ってきた。

額の痺れと筋肉痛を訴えた。
ここ最近、調子が悪い。

夜一回の塗り薬を貰い血の検査をしてもらった。

結果は、二週間後……


病院を出ると佐久間が、待っていた。

以前なら、腹が立った顔も今は、もう腹立たない。


「これから、時間あるか？」

「なんかあるのか？」

「ちと話がある」

「まぁ、俺は、いつでも暇しているよ」

「なら、よかった」


佐久間が、ニヤリと笑う。


俺は、佐久間に連れられてフェアリーテイルに向かった。


「で、用件はなんだ？」

「単刀直入に言おう。
　犯人が、わかりそうだ」

「え？」


突然の言葉に俺は、耳を疑った。


「別件で逮捕していた奴が、吐いたんだ」

「なんか、急展開だな……」

「そうだな。
　推理ドラマじゃないのだから、こういうのは、淡々と行ってくれる場合がある」

「それじゃ、茶虎の無罪は立証されるのか？」

「どうだろうな……
　一度決まった裁判で、しかも死んでしまっている場合は、難しいかも知れない」

「なんとか、ならないのか？」

「あとは、弁護士の腕だな……」

「西郷さんか……」

「ああ。
　あの弁護士は、腕利きだ。
　信用していいと思うぞ」

「ああ……」

「ただ。
　問題なのは、ここからだ。
　普通なら、犯行を認めているのだから、茶虎さんの罪は無くなるはずだ」

「ああ……
　だよな……」

「それを吐いたのが、真田　清継（さなだ　きよつぐ）。
　府知事の息子だ……
　よって、圧力がかかる」

「府知事の息子って、ウチに嫌がらせをしていた奴の主犯じゃないか！」

「ああ、そうだ……」


俺の中で怒りがわなわなと噴出してくる。


「許せないな……」

「ああ……
　許せない。
　だが、圧力がかかってるのも事実だ。
　俺は、これからヤツの有罪を確実のモノにできるように単独で動く」

「いいのか？
　そんなことをして……」

「俺は、執念深いのさ」


佐久間は、そう言って笑いその場を去った。


※この物語は、フィクションです。

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11月13日


茶虎と会った。

もう動かなくなった茶虎と会った。
冷たくなった茶虎と会った。
遺体安置所には、俺と茶虎、そして佐久間だけが残されていた。


「茶虎……」


返事がない。
当たり前か、死んでいるんだもんな。


「……上の方は、被疑者死亡で送検するそうだ」


佐久間が、小さな声で言う。


「茶虎は、やってない！」

「ああ。
　わかっている。
　それは、俺や多摩月先輩で、こっそりと捜査している」

「真犯人は、まだわからないのか？」

「まだ、はっきりとわかってないから言えない」

「そうか……」

「仮に見つかっても、言えないな」

「どうしてだ？」

「お前に教えたら、お前はそいつを殺すだろう？」

「……」

「図星か……」

「当たり前だろ……
　そいつは、俺の家族を滅茶苦茶にしたのだから……
　それに、玉藻だって殺している」

「そうだな。
　だから、俺らが捕まえる。
　俺らが捕まえて、きちんとした罰を受けてもらう」

「……わかった。
　俺にできることがあったら、なんでも言ってくれ……」

「ああ……」


俺は、その言葉を聞くと立ち上がり。
遺体安置所を去った。


俺には、未来も過去も見る力を持っている。
だけど、死んだ人間の過去を見ることが出来ない。

それが、苦しく辛かった。


※この物語は、フィクションです。

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マイミクのtamaさんが殺されたそうです。

11月12日


今日は、晴れ。
だけども、寒い。

朝、携帯が鳴って目が覚めた。
警察からの電話だった。

内容は、最悪だった。

弟が、茶虎が、首を吊って自殺をした。

遺書には、こうあったらしい。


「無実を証明させるために死にます」


頭の中が、空っぽになる。


何が起きたのかわからない。
警察の人が、何を言っているのかわからない。


家のインターフォンが鳴る。


顔を出すと夥しい数のマスコミたちが集まっていた。


「弟さんが、自殺したそうですが、何かひとことありますか？」


何を言っているんだ？


「何が、あったんですか？」


そんなの俺には、わからない。


「何か一言！何か一言！
　お願いします！」

「弟はやっていない……」

「はい？」

「弟は何もやってない！」

「じゃ、お前がやったんじゃないのか！
　お前も容疑者の一人だろ？」


また、前の男の記者の声が聞こえた。
俺は、その記者を睨んだ。


「なんなんだ！
　お前は、前から！」

「殴るんですか？
　人殺しの家族は、やっぱりみんな人殺しなんだな！」


男の記者が、そう言って鼻で笑う。

殴りたい。
でも、ここで、もし殴ってしまえば……
相手の思う壺だ。


「そこまでだ！」


佐久間の声が、響く。


「なんなんだ、アンタは！」


男の記者が、佐久間を睨む。
佐久間は、警察手帳を見せていった。


「これ以上は、名誉棄損、不法侵入で逮捕しますよ？」


佐久間のその一言で、その男の記者も含め他の記者も俺の家から離れた。

ところで、名誉棄損って、現行犯で逮捕できたっけ？


※この物語は、フィクションです。

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マイミクのtamaさんが殺されたそうです。

11月11日


雨。


雨が降る中、面接に行ってきた。


緊張した。


何を話したか覚えてない。

帰りの電車で、少し居眠りした。

夢を見た。

懐かしい夢。


玉藻が出てきた。


玉藻と初めて出会った時のことを思い出した。


「久しぶり……
　と言うのは変か？」


ネットで、出会いそして実際に会ったとき、玉藻はそう言った。


「久しぶり……」


思わず俺も「ひさしぶり」と答えた。
すると玉藻は、嬉しそうに笑い、そして俺の手を握った。


「私と付き合ってください！」


いきなりの告白だった。
手順も何もない。

でも、悪い気はしなかった。

だから、俺は、こう答えた。


「俺でよければ……」


メールの交流である程度の仲になっていた。
だから、『付き合う』ということ自体に抵抗はなかった。

だから、承諾した。
女の子と付き合ったこともなかった。
これを逃せば、もう二度と女の子と付き合えない。

そう思った。

だから、承諾した。


不純と言えば不純かも知れない。

でも、嬉しかったんだ……


「さて、これで私たちは恋人同士だ。
　手をつないで歩こうか？」

「ああ」


俺と玉藻は、いわゆる恋人つなぎと言われるつなぎかたで、道を歩いた。

寒い寒い寒い日だった。

ただ、玉藻の手だけが温かかった。


そんな夢だった。
懐かしい思い出……

『玉藻』と『たま』と呼ばれた女の子。


今思えば、少し似ているような気がした。
雰囲気は、違うけど……
顔が少し似ていた。




※この物語は、フィクションです。

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