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まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]
2012年10月16日
今日は、充君のお葬式があった。
この間まで、生きていた命は、今冷たくなっている。
小さな小さなこの体は、もう生きていない。
小さな花畑に囲まれ……
天国へと召された。
病室に戻った俺は、黒のネクタイを外した。
「なんか、寂しいね」
「うん」
「元気だったのにな……」
「そうだな」
今は、何も思い出せない。
頭の中がからっぽ。
心の中もからっぽ。
何もかもがからっぽ。
からっぽな俺の人生は、からっぽなまま終わろうとした。
俺は生きている。
生きれない命が、そこにあったのに俺は生きている。
それは、ほんの少しの時間なのかもしれない。
だけど、俺は今、生きている。
だから、やらなくちゃいけないことがあるんだ……
「ねぇ、亜金」
「うん?」
「亜金は、死んじゃいやだよ?」
「死なないよ」
「ホントに?」
「うん」
「じゃ、ゆびきりしよう」
ゆびきりと聞いた時、萌ちゃんのゆびきりのシーンが目に浮かぶ。
「ゆびきりは、いいや……」
「どうして?」
「なんとなく嫌なんだ……
ゆびきりをすると終わる気がして……」
「ふーん。
じゃ、誓いのキスを……」
「それは、結婚式にするもんだろ?」
「じゃ、結婚式やろー
今すぐやろー」
「……また、今度な」
「え?」
美穂は、目を丸くさせた。
「まぁ、今度な……」
俺は、そう言って服を着替えた。
「約束だよ」
美穂が、そう言って俺の体を抱きしめた。
今日は、充君のお葬式があった。
この間まで、生きていた命は、今冷たくなっている。
小さな小さなこの体は、もう生きていない。
小さな花畑に囲まれ……
天国へと召された。
病室に戻った俺は、黒のネクタイを外した。
「なんか、寂しいね」
「うん」
「元気だったのにな……」
「そうだな」
今は、何も思い出せない。
頭の中がからっぽ。
心の中もからっぽ。
何もかもがからっぽ。
からっぽな俺の人生は、からっぽなまま終わろうとした。
俺は生きている。
生きれない命が、そこにあったのに俺は生きている。
それは、ほんの少しの時間なのかもしれない。
だけど、俺は今、生きている。
だから、やらなくちゃいけないことがあるんだ……
「ねぇ、亜金」
「うん?」
「亜金は、死んじゃいやだよ?」
「死なないよ」
「ホントに?」
「うん」
「じゃ、ゆびきりしよう」
ゆびきりと聞いた時、萌ちゃんのゆびきりのシーンが目に浮かぶ。
「ゆびきりは、いいや……」
「どうして?」
「なんとなく嫌なんだ……
ゆびきりをすると終わる気がして……」
「ふーん。
じゃ、誓いのキスを……」
「それは、結婚式にするもんだろ?」
「じゃ、結婚式やろー
今すぐやろー」
「……また、今度な」
「え?」
美穂は、目を丸くさせた。
「まぁ、今度な……」
俺は、そう言って服を着替えた。
「約束だよ」
美穂が、そう言って俺の体を抱きしめた。
まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]
2012年10月15日
今日の夜。
充君のお通夜が行われる。
その前に、充君のお母さんが、俺たちに話があると言うことで病院の部屋を借りて集められた。
その際に、DSを持ってくるように言われた。
集まったのは、俺と美穂、歩ちゃんに隼人君に愛ちゃん、元太君だ。
「皆さん。
充に良くしてくれていたみたいでありがとうございました」
充君のお母さんは、そう言って涙を零しながら頭を下げた。
「いえ、そんな……」
美穂が、そう言って充君のお母さんをなだめる。
「皆さんに渡したいモノがあります……
皆さんのゲームソフト、充が生前に盗ったらしくまずそのお詫びを……」
充君は、そう言ってゲームソフトを机の上に置いた。
ゲームソフトには、セロハンテープで名前の書いたメモが貼られていた。
俺は、【亜金さん】と書かれたポケモンのソフトを預かる。
「皆さんにメッセージがあるそうですので、よろしければゲームをやってください」
充君のお母さんは、そう言ってハンカチで涙を拭う。
俺は、ポケモンのソフトをDSに入れるとゲームを始めた。
手持ちポケモンの中に、俺の欲しかった色違いのイーブイがいた。
イーブイには、メモが持たされていた。
メモには、こう書かれていた。
あきんさん いつもわがままに つきあってくれて ありがとうございます
あきんさんと いっしょに すごした ひび たのしかったです
どうか このイーブイ だいじに そだててください
みほさんと なかよく そして けっこんしてください
充君が、俺に残した言葉……
他の子供たちにもメモが持たされていたみたいで涙を流しながらゲーム画面を見ている。
「美穂には、なんて書いてあったんだ?」
「……内緒」
美穂も涙を流しながら答えた。
「ケチ……」
隼人君が、無言でゲームの画面を見ている。
涙は流していない。
ただ無言で見ている。
「隼人君?」
「何?」
「隼人君は、何を貰ったの?」
「ジラーチ」
「そっか……」
「なんて書いてあったの?」
「聞いてどうするの?」
「どうもしないけど……」
「うん。
だったらいいじゃん」
「そうだね……」
隼人君と俺以外は泣いていた。
俺の心は、今空っぽだ。
生きたい命はそこにあったんだ。
今日の夜。
充君のお通夜が行われる。
その前に、充君のお母さんが、俺たちに話があると言うことで病院の部屋を借りて集められた。
その際に、DSを持ってくるように言われた。
集まったのは、俺と美穂、歩ちゃんに隼人君に愛ちゃん、元太君だ。
「皆さん。
充に良くしてくれていたみたいでありがとうございました」
充君のお母さんは、そう言って涙を零しながら頭を下げた。
「いえ、そんな……」
美穂が、そう言って充君のお母さんをなだめる。
「皆さんに渡したいモノがあります……
皆さんのゲームソフト、充が生前に盗ったらしくまずそのお詫びを……」
充君は、そう言ってゲームソフトを机の上に置いた。
ゲームソフトには、セロハンテープで名前の書いたメモが貼られていた。
俺は、【亜金さん】と書かれたポケモンのソフトを預かる。
「皆さんにメッセージがあるそうですので、よろしければゲームをやってください」
充君のお母さんは、そう言ってハンカチで涙を拭う。
俺は、ポケモンのソフトをDSに入れるとゲームを始めた。
手持ちポケモンの中に、俺の欲しかった色違いのイーブイがいた。
イーブイには、メモが持たされていた。
メモには、こう書かれていた。
あきんさん いつもわがままに つきあってくれて ありがとうございます
あきんさんと いっしょに すごした ひび たのしかったです
どうか このイーブイ だいじに そだててください
みほさんと なかよく そして けっこんしてください
充君が、俺に残した言葉……
他の子供たちにもメモが持たされていたみたいで涙を流しながらゲーム画面を見ている。
「美穂には、なんて書いてあったんだ?」
「……内緒」
美穂も涙を流しながら答えた。
「ケチ……」
隼人君が、無言でゲームの画面を見ている。
涙は流していない。
ただ無言で見ている。
「隼人君?」
「何?」
「隼人君は、何を貰ったの?」
「ジラーチ」
「そっか……」
「なんて書いてあったの?」
「聞いてどうするの?」
「どうもしないけど……」
「うん。
だったらいいじゃん」
「そうだね……」
隼人君と俺以外は泣いていた。
俺の心は、今空っぽだ。
生きたい命はそこにあったんだ。
まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]
2012年10月14日
命というモノは、どうしてこんなに儚いのだろうか?
昨日の充君の手術は、成功とは言えなかった。
4時間の予定の手術は、12時間かかった。
12時間かかった結果……
充君の脊髄移植には、成功した。
みんな一安心した。
だけど、その後すぐに拒絶反応が現れ充君は、亡くなった。
さよならも言えない別れほど辛いモノはない。
それを知らされた、俺と美穂。
歩ちゃんと愛ちゃん、元太君は涙を流した。
「なんなんだよ!
ドナーが見つかって助かるんじゃなかったのかよ!」
元太君が、銘先生の方を睨む。
「ごめんなさい……」
銘先生は、涙を流して謝った。
銘先生の責任ではないのは、わかっている。
それは、みんな解っている。
だけど、その悲しみは誰かにぶつけなければ気がすまなかったのだろう。
「みんな、悲しまないでくれ……」
充君のお父さんが、みんなに声を掛ける。
「でもよ……」
元太君が、充君のお父さんの方を見る。
「運命だったんだ……
これは、あの子の運命だったんだよ。
むしろ苦しまず逝けただけでも、充は幸せだったのかもしれない……」
俺は、言葉が出なかった。
充君は、言葉を続ける。
「だから、みんなも顔をあげて元気を出してください」
隼人君は、黙って空を見上げる。
外は、快晴。
いい天気だ。
「隼人!お前は、悲しくないのかよ!」
涙、ひとつ零さない隼人君に元太君が睨む。
「悲しいよ。
でもね、もう泣かないと決めたんだ」
隼人君は、愛ちゃんの頭を撫でる。
俺の病室は、小さな泣き声だけが響いた。
「なんなんだよ……
それ……」
元太君が、再び号泣した。
あまりにも悲しい日曜日。
突然の別れに俺たちは、悲しむことしかできなかった。
命というモノは、どうしてこんなに儚いのだろうか?
昨日の充君の手術は、成功とは言えなかった。
4時間の予定の手術は、12時間かかった。
12時間かかった結果……
充君の脊髄移植には、成功した。
みんな一安心した。
だけど、その後すぐに拒絶反応が現れ充君は、亡くなった。
さよならも言えない別れほど辛いモノはない。
それを知らされた、俺と美穂。
歩ちゃんと愛ちゃん、元太君は涙を流した。
「なんなんだよ!
ドナーが見つかって助かるんじゃなかったのかよ!」
元太君が、銘先生の方を睨む。
「ごめんなさい……」
銘先生は、涙を流して謝った。
銘先生の責任ではないのは、わかっている。
それは、みんな解っている。
だけど、その悲しみは誰かにぶつけなければ気がすまなかったのだろう。
「みんな、悲しまないでくれ……」
充君のお父さんが、みんなに声を掛ける。
「でもよ……」
元太君が、充君のお父さんの方を見る。
「運命だったんだ……
これは、あの子の運命だったんだよ。
むしろ苦しまず逝けただけでも、充は幸せだったのかもしれない……」
俺は、言葉が出なかった。
充君は、言葉を続ける。
「だから、みんなも顔をあげて元気を出してください」
隼人君は、黙って空を見上げる。
外は、快晴。
いい天気だ。
「隼人!お前は、悲しくないのかよ!」
涙、ひとつ零さない隼人君に元太君が睨む。
「悲しいよ。
でもね、もう泣かないと決めたんだ」
隼人君は、愛ちゃんの頭を撫でる。
俺の病室は、小さな泣き声だけが響いた。
「なんなんだよ……
それ……」
元太君が、再び号泣した。
あまりにも悲しい日曜日。
突然の別れに俺たちは、悲しむことしかできなかった。
まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]
2012年10月13日
晴れ。
今、充君の手術が始まった。
これから、4時間かけて手術が始まる。
子供たちが、俺の部屋で待機している。
いつものようにポケモンをして待とうと思ったのだけどポケモンのソフトが無くなっている。
ポケモンのソフトが無くなったのは俺だけじゃない。
俺の他に美穂、歩ちゃん愛ちゃん隼人君。
そして、昨日、先生に無理を言って泊めてもらった元太君のポケモンのソフトも無くなった。
「暇だぞ……」
元太君が、うなだれる。
「充君の手術、早く終わらないかな……?」
歩ちゃんが、そう言って俺の方を見る。
「早く終わるより、無事に終わることを祈ろう」
俺が、そう言うと愛ちゃんが小さな声で呟く。
「大丈夫だよね?」
正直な話、充君の手術は、かなり難しいらしい。
成功してもそれ相応のリスクを背負うらしいし……
充君の病状に関しては、千春ちゃんも千代田さんも教えてはくれない。
個人情報保護の時代だ……
仕方がないと言えば仕方がないのだけど……
「お守り持ってきたから大丈夫だよ」
美穂が、そう言ってみんなにお守りを見せる。
そのお守りには、交通安全祈願と書かれていた。
それを見た隼人君が、すぐにツッコむ。
「それ、交通安全祈願だよ」
皆は、それを聞いて少しだけ笑顔を見せる。
「あ、間違えた……」
美穂は、そう言って新しいお守りを出す。
そう言って俺たちに見せたのは……
子宝祈願と書かれたお守りだった。
「子宝?」
隼人君が、首を傾げる。
「私と亜金の子供を作るの……
その祈願のお守り……♪」
「へぇー」
隼人君が目を細める。
「まぁ、手術が成功することを祈ろう」
俺が、そう言うとみんなは頷いた。
そして、祈った。
手術が成功することを……
晴れ。
今、充君の手術が始まった。
これから、4時間かけて手術が始まる。
子供たちが、俺の部屋で待機している。
いつものようにポケモンをして待とうと思ったのだけどポケモンのソフトが無くなっている。
ポケモンのソフトが無くなったのは俺だけじゃない。
俺の他に美穂、歩ちゃん愛ちゃん隼人君。
そして、昨日、先生に無理を言って泊めてもらった元太君のポケモンのソフトも無くなった。
「暇だぞ……」
元太君が、うなだれる。
「充君の手術、早く終わらないかな……?」
歩ちゃんが、そう言って俺の方を見る。
「早く終わるより、無事に終わることを祈ろう」
俺が、そう言うと愛ちゃんが小さな声で呟く。
「大丈夫だよね?」
正直な話、充君の手術は、かなり難しいらしい。
成功してもそれ相応のリスクを背負うらしいし……
充君の病状に関しては、千春ちゃんも千代田さんも教えてはくれない。
個人情報保護の時代だ……
仕方がないと言えば仕方がないのだけど……
「お守り持ってきたから大丈夫だよ」
美穂が、そう言ってみんなにお守りを見せる。
そのお守りには、交通安全祈願と書かれていた。
それを見た隼人君が、すぐにツッコむ。
「それ、交通安全祈願だよ」
皆は、それを聞いて少しだけ笑顔を見せる。
「あ、間違えた……」
美穂は、そう言って新しいお守りを出す。
そう言って俺たちに見せたのは……
子宝祈願と書かれたお守りだった。
「子宝?」
隼人君が、首を傾げる。
「私と亜金の子供を作るの……
その祈願のお守り……♪」
「へぇー」
隼人君が目を細める。
「まぁ、手術が成功することを祈ろう」
俺が、そう言うとみんなは頷いた。
そして、祈った。
手術が成功することを……
まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]
2012年10月12日
とうとう明日は、充君の手術日。
緊張からか、充君の元気が、いつもより一層ない。
充君は、無言でポケモンを俺の部屋でやっている。
他の子供たちもほぼ無言だ。
元太君は、いない。
今頃授業を受けているんだろうな……
院内学級も今日は中止らしい。
何故だか知らないけど、はるか先生も俺の部屋にいる。
はるか先生もポケモンをやっていた。
ちょっと意外だ……
「なぁ、みんな、相談があるのだけど……」
俺が、そう言うとみんなの視線が俺に集まる。
「11月17日にしし座流星群が見れるのだけど……
みんなで、見ない?
もちろん元太君も誘ってさ」
「流星群って何?」
愛ちゃんがくいつく。
「流れ星がいっぱい見れるんだよ」
俺も詳しくは知らないので、適当に答えてしまった。
でも、間違っていないよね?
「流れ星……
願い事叶うかな?」
歩ちゃんが、笑う。
「叶うさ……」
俺がそう言うと愛ちゃんが笑う。
「じゃ、私は、充君の手術が成功しますように!
って願う!」
すると充君が、笑う。
「その頃には、手術は終わってますよ」
久しぶりに充君の笑顔を見た気がする。
「充君。
絶対に見ような!」
「でも……」
「ゆびきりだ!」
俺は、強引に充君とゆびきりをした。
「亜金さん、まるで子供じゃないですか……」
「俺は、子供だぞ。
まだ28歳だからな」
「十分大人です」
充君が再び笑う。
「みんなも約束だからな!」
「うん!」
愛ちゃんと歩ちゃんが頷く。
「隼人君も一緒だぞ?」
「……うん」
あれ?隼人君ももしかして元気ない?
とりあえず、約束はした。
久しぶりに充君が笑った。
それだけで、いい。
あとは祈るだけだ。
充君の手術が成功することを……
とうとう明日は、充君の手術日。
緊張からか、充君の元気が、いつもより一層ない。
充君は、無言でポケモンを俺の部屋でやっている。
他の子供たちもほぼ無言だ。
元太君は、いない。
今頃授業を受けているんだろうな……
院内学級も今日は中止らしい。
何故だか知らないけど、はるか先生も俺の部屋にいる。
はるか先生もポケモンをやっていた。
ちょっと意外だ……
「なぁ、みんな、相談があるのだけど……」
俺が、そう言うとみんなの視線が俺に集まる。
「11月17日にしし座流星群が見れるのだけど……
みんなで、見ない?
もちろん元太君も誘ってさ」
「流星群って何?」
愛ちゃんがくいつく。
「流れ星がいっぱい見れるんだよ」
俺も詳しくは知らないので、適当に答えてしまった。
でも、間違っていないよね?
「流れ星……
願い事叶うかな?」
歩ちゃんが、笑う。
「叶うさ……」
俺がそう言うと愛ちゃんが笑う。
「じゃ、私は、充君の手術が成功しますように!
って願う!」
すると充君が、笑う。
「その頃には、手術は終わってますよ」
久しぶりに充君の笑顔を見た気がする。
「充君。
絶対に見ような!」
「でも……」
「ゆびきりだ!」
俺は、強引に充君とゆびきりをした。
「亜金さん、まるで子供じゃないですか……」
「俺は、子供だぞ。
まだ28歳だからな」
「十分大人です」
充君が再び笑う。
「みんなも約束だからな!」
「うん!」
愛ちゃんと歩ちゃんが頷く。
「隼人君も一緒だぞ?」
「……うん」
あれ?隼人君ももしかして元気ない?
とりあえず、約束はした。
久しぶりに充君が笑った。
それだけで、いい。
あとは祈るだけだ。
充君の手術が成功することを……