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ギフト(小説) [ギフト(小説)]

2013年02月19日


俺は、今日も病院の中……
俺は、ぼーっとしていると誰かが部屋をノックした。

玉藻かな?


「どうぞー」


俺が、そう返事をすると扉が開く。
そして、そこにいたのは驚いたことに夕貴さんだった。

顔と腕に包帯を巻いていた。


「その顔と腕……
 どうしたの?」


俺は、驚いた声で尋ねた。
夕貴さんは、苦笑いを浮かべながらフィリップに文字を書いた。


【あの時の事件で、火傷をしちゃいました】

「守り切れなくてごめん……」


俺は、謝った。


【亜金さんは、悪くありません】


夕貴さんは、優しく微笑んだ。


「でも、女の子の顔に怪我させちゃうなんて……」


俺が、俯いてそう言うと水菜議員が部屋に入って来た。


「まったくその通りだ」


水菜議員の顔が、少し怒っている。


「水菜議員……」

「君は、私の娘の顔を傷つけた。
 本来ならその責任をとって貰うところだが……
 亜金君は、夕貴の護衛の任を解かれた身だ。
 だから、亜金君たちには感謝している……
 それよりも問題なのは、私たちが用意した数十人の精鋭たちがいとも簡単にあの火を操る男に負けたことだ」

「アイツは、強いです……
 チート級の俺よりも強いです……
 勝てるかどうかもわかりません」


水菜議員は、俺の頭をなでる。


「今回の死者のうち30名は、私が用意したチート級のギフト能力者だ。
 チート級の君1人で、どうにかなる相手じゃないってことはわかるだろう?」

「はい……」

「娘を助けてくれてありがとう」


水菜議員は、頭を下げた。


「いえ、そんな……」

「そして、もうひとつ頼みたいことがある……
 君にあの火を操る男を倒してほしい」

「俺に倒せるかどうか……」

「大丈夫だ……
 相手が火なら亜金君は、水を使えばいい」

「そんな簡単に……」


俺は、弱気になっていた。


「水の魔法持ってないのかい?」

「あります……」

「なら、大丈夫だ。
 問題ない」


水菜議員は、そう言うとニッコリと笑った。
そんな簡単な問題じゃない。
強い火は水を蒸発させる。
簡単な魔法じゃアイツには勝てない。
でも、頑張らなくちゃいけない。
アイツを倒さなくちゃ白銀さえも勝てないだろう。
頑張ってゲームして技を覚えるのではなく、実戦で技を究める!

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ギフト(小説) [ギフト(小説)]

2013年02月18日


月曜日、雨……
病室内にて俺は、再び金縛りにあう。
この感触……


また、夢ちゃんだな。


「夢ちゃんかい?」


俺は、やっと動く口でそう尋ねた。


「あら、流石に何度もやるとわかるようになるのね……」

「まぁ、夢の中で金縛りにするなんて、夢ちゃんくらいしかいないからね……」

「私たちの忠告は聞けたかしら?」


夢ちゃんが、クスクス笑いながら姿を現す。


「恋次は、渡せないよ?
 それに、俺にそんな権限はない……」

「私のことを好きにできるのに?」


夢ちゃんが、色っぽい声で言う。


「子供には興味ないよ」

「私、こう見えても17歳よ?
 女子高生よ?亜金、私に興味ない?」

「女子高生は、まだ子供だよ」


夢ちゃんが、そう言うと頬を膨らませておこる。


「ドーテーのアンタよりかは大人よ!
 経験だって私の方が何倍も上なんだからね!」

「俺の経験は、0だからその経験が何倍でも数は0だぞ?」

「口の減らない人ね……」


夢ちゃんは、そう言って俺のベッドに横になる。
そして、俺の耳元でささやく。


「夢の全部あげちゃうぞ」

「そうやっていろんな男の人と寝てきたの?」

「それしか、私があの人の役に立てる方法はないから……」


夢ちゃんの表情が一瞬曇る。


「……嫌じゃないの?」

「私は、あの人の役に立てるのならそれでいい。
 いつか、私に振り向いてもらえるのなら……」

「もっと自分を大事にしなくちゃダメだよ」


俺は、そう言って静かに笑った。


「アンタに!アンタに何がわかるのよ!
 もういいわ!交渉決裂!枚方を火の海に変えてやるんだから!」


夢ちゃんの怒鳴り声と共に俺は、金縛りから解放され夢から解放された。


「……はぁ」


俺は、ため息をついた。


「寝起き早々ため息……
 倖せが逃げえていくぞ……?」


啓司が、そう言って朝食をベッドについているテーブルに置いてくれた。


「ああ、実は――」


俺は、事の軽油を啓司に話した。


「そうか……
 本部にすぐに戻って連絡してくる」


啓司は、そう言って足早に俺の病室を出た。
さて、俺はいつ退院できるのだろう?

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ギフト(小説) [ギフト(小説)]

2013年02月17日

日曜日、曇り。

目が覚めると俺が居たのは白い天井に白いカーテン。
そして、白い壁に覆われた部屋だった。

簡単に言うと病院の部屋だ。


俺はゆっくりと体を起こす。


「亜金、起きたか……」


啓司が、そう言って部屋に入ってくる。
そして、啓司の後ろには、男の子と女の子が傍にいた。


「啓司か……?
 俺に何をした?
 その子たちは……?」

「まず順序に沿って質問に答えよう。
 俺はこの子に亜金と玉藻ちゃんの意識を飛ばすように指示した」


啓司は、そう言って男の子の頭をなでる。
そして、言葉を続ける。


「んで、この子たちは、お前の先輩。
 つまり特務捜査官のメンバーだ……
 俺は、この鳶(とび)に命令し、鳶の能力、ファイントにより亜金の意識を飛ばしてもらった」

「なんのために?」

「それは、この未来(みく)の能力、イフによりあのまま亜金と玉藻ちゃんが、あの場所に戻れば2人は確実に死んでいたからだ……」


そう言って、啓司は女の子の頭をなでる。


「玉藻は?」

「今は、夕貴さんと一緒に昼食を食べている」

「そうか……」


俺は、少し安心した。


「怒らないのか?」


啓司がきょとんとした表情で俺を見る。


「何を?」


俺は、ため息交じりに聞き返した。

「俺たちは、お前を……
 いや、なんでもない」


啓司は、あまりにも申し訳なさそうな顔をして謝るので、俺の中の怒りなんて吹き飛んだ。


「構わないさ。
 今、冷静になって考えれば、わかる。
 俺と玉藻だけではあの火蛾には、勝てない」

「火蛾?」


啓司が首をかしげる、


「あの放火犯の名前……
 自称だけど、火蛾 達磨って名乗ってた」

「そうか……
 捜査資料に加えておくよ」


啓司が、真面目な表情で頷いた。


「ああ……
 あの病院の被害は?」

「死者120人、負傷者3500人、行方不明者30人だ」

「凄い被害だね……」

「ああ……
 目的もわからない」

「たぶん、恋次を解放しないともっと酷いことになるってことだろう」

「だからと言って、恋次を奴らに返すことはできない」


啓司が、しっかりとした表情で俺を見る。


「俺も同感だ」


俺も頷いた。
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ギフト(小説) [ギフト(小説)]

2013年02月16日


辺りは焼け野原。
こんなことができるのは1人しかいない。


「また、お会いしましたね……」


ファイアーターと呼ばれる男が、俺たちの前に現れる。


「ファイアーター!」


俺は、警戒態勢に入った。


「なんですか?
 その呼び名は……?」


男は、首をかしげる。
そして、言葉を続ける。


「ああ。」
 そうですか……
 自己紹介が遅れましたね、私、火蛾 達磨と申します」


あれ、前会った時とキャラが変わってる?
俺は、思ったよりも紳士的な態度に驚く……


男は、ニヤリと笑うと奇声をあげて笑う。


「なーんてな!
 俺は、火蛾 達磨!
 全てを燃やす男だ!
 亜金!お前を生け捕りにしてやる!
 そして、女!お前は、ミディアムレアに焼いて犬の餌にしてやろう!」


火蛾と名乗る男が、両手に炎をまとい突進してきた。
しかし、玉藻が俺の腕を掴んでワープする。
ワープした先は、夕貴さんの部屋。

夕貴さんは、部屋の隅で蹲っていた。


「夕貴さん!」


夕貴さんは、俺の姿を見ると駆け寄って来た。
そして、俺の胸の中に飛びつく。


「もう大丈夫だ……」


玉藻が、そう言うと夕貴さんは、頷く。


「じゃ、早くこの場から去ろう。
 火蛾が、すぐにこっちに来ると思う」


俺が、そう言うと夕貴さんは、フィリップとマジックをしっかりつかむと俺の腕をしっかりと掴んだ。
玉藻は、俺と夕貴さんの背中に触れるとワープした。

ワープしたのは、警察署内。
啓司たちのいる作戦会議室だった。


「亜金!玉藻ちゃん……と夕貴さん?


啓司が、目を丸くさせ驚く。


「病院が、爆破された……
 そこから、夕貴さんだけだが、救ってきた」

「そうか……」


啓司が、頷く。


「じゃ、俺たちはもう一度……」


俺は、玉藻の腕を握る。
すると俺の頭に衝撃が走る。

そして、俺の意識はそこで途切れた。

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ギフト(小説) [ギフト(小説)]

2013年02月15日


俺の心は満ちていた。

昨日、夕貴さんに貰ったチョコレート……
義理だと解っていても嬉しいものだ。

あのチョコの味を思い出すだけで顔がにやける。


「亜金、顔がにやけているぞ」


玉藻に注意されるも俺の顔がにやける。


「だって、チョコだよ?
 初チョコだよ?」

「義理だろ?」

「義理でもチョコはチョコだよ」


俺は、ニヤニヤ笑いながら枚方市駅の改札口の中に入ろうとしたとき、大きな爆発音が聞こえた。


「今の爆発音……
 もしかして……」


玉藻は、眉間にしわを寄せる。
俺の中にも嫌な予感が走った。


駅の窓から外を見ると夕貴さんがいる病院の方から煙が立っていた。


「夕貴さん!」


俺は、走った。


「亜金!
 止まれ!」


俺は、玉藻を無視して走る。
すると目の前に玉藻が現れ俺の頭にチョップする。


「そんなことをしている場合じゃないだろ!」


俺は、思わず怒鳴る。
すると玉藻が、ため息をつく。


「冷静になれ……」

「これが、冷静になれるわけが――」


玉藻は再び、俺の頭にチョップする。


「馬鹿か……
 私を頼れ」


玉藻が、ため息交じりに答える。


「え?」

「私のワープを使えば、早く行けるだろう?」

「あ……」

「冷静になったか?」

「……うん」

「では、私の腕を掴め」

「うん」


俺は、玉藻の腕を掴んだ。


「ワープ」


玉藻のその一言で、周りの景色が変わり夕貴さんが入院している病院に到着した。
周りは火の海だった……
泣き叫ぶ声、そして肉の焦げるにおい……
そこは、まるで地獄絵図のようだった。

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