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ギフト(小説) [ギフト(小説)]

2013年02月24日


日曜日。
晴れているのに雪が降る。
この現象を風花(かざばな)と呼ぶらしい。

さて、どうでもいい話は置いておいて……
昨日、枚方は、火の海になってしまった。

この病院や一部ビル、学校などは、ギフト能力者のおかげで無傷ですんだけど……
それ以外の場所は悲惨だった。

とりあえず、昼間の出来事だったので子供たちへの人的被害は少なかった。
でも……
帰る家や家族を失った子供たち。
絶望、恐怖、そして失望。


この感覚……

気持ち悪い。
ニュータイプの能力を得たばかりにこういう他人の色んな絶望と言う感情が入ってくるのが辛い。
気持ち悪いのは、俺だけじゃなかった。


「なんなんだ?
 このありさまは……」


王が、頭を押さえながら現れる。


「あ、王は、無事だったんだ……?」

「四次元マンションの中にいたからな……
 にしても、どういうことなんだ?
 啓司、簡潔に説明しろ」


王は、茫然としている啓司に尋ねた。


啓司は、うろたえながら答える。


「わからない……
 まったくわからない。
 こっちが聞きたいところだ」

「情報は?
 警察内に情報とか入ってこないのか?」

「情報は錯誤している。
 どうすることもできない……」


啓司も相当パニックになっているようだった。
俺の携帯が鳴る。

御幸からだ。


「はい、詩空です」

「亜金、電話は繋がるんだな……
 今、何処にいる?」

「夕貴さんが入院している病院だよ」

「そうか、だったら無事なんだな?」

「うん。
 御幸の方こそ怪我してない?」

「ああ、怪我はしていない。
 僕は、太郎の喫茶店にいたからな。
 お前が、無理やり太郎の店に張り付けたファンネルシールドが、役に立った。
 太郎や萌ちゃん、瓜君に桃ちゃんも無事だ」

「よかった……
 啓司や夕貴さんに玉藻も無事だよ。
 あとおまけに王も無事だ」


俺は、友人の無事がわかり安心した。


「王も傍にいるのか?」

「うん」

「少し電話を代わってくれないか?」

「わかった」


俺は、王と電話を代わった。
そして、少し会話をした後、電話は終えた。


「さて、明日、御幸がこっちに来るらしい。
 その時に作戦会議を開くぞ……」


王の言葉に俺たちの緊張が一気に固まった。

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ギフト(小説) [ギフト(小説)]

2013年02月23日


曇り時々雨な土曜日。

今日も王の、四次元マンションの中で王に修行をつんでもらった。

当然の如く、俺は傷だらけそして、今日も里杏ちゃんに怒られる。


「亜金さん!
 修行もいいですが、怪我しないように修行してください」


里杏ちゃんが、怒るが全然怖くない。
と言うか、滅茶可愛い。癒される。


「なにをニヤついているんだ?」


玉藻が、ため息交じりに現れた。


「あ、玉藻久しぶり」

「久しぶりだな……
 元気そうで何よりだ」

「うん。
 いつでも退院できるように元気だよ」


俺が、そう言うと里杏ちゃんが、怒鳴る。


「亜金さんは、元気すぎます!
 元気余って怪我100倍!これじゃ、いつまでたっても退院できませんよ!」


里杏ちゃんが、真面目な顔で怒鳴る。
怒鳴るけど滅茶可愛い。


「里杏ちゃん」

「なんでしょう?」

「1回でいいから抱かせてください!」


俺は、少しからかってみた。
すると里杏ちゃんは、顔を真っ赤にさせ慌てふためく。


「な、な、な……
 何を言っているんですか!
 私は、まだ16歳ですよ……
 そ、それにそういうのは、大好きな人とするモノで……」


うん。
里杏ちゃんは、可愛いな。
顔だけじゃなく性格も可愛い。
すると俺の頭に丸まった紙をぶつけられる。
なんだろう?俺は、丸まった紙を広げるとこう書かれていた。


【亜金さんサイテー】


俺は、紙が飛んできた方向を見ると夕貴さんが、俺を睨んでいる。


「夕貴さんいつからいたの?」

「私と一緒にこの部屋に来た」


玉藻が、夕貴さんの代わりに答える。
夕貴さんが、フィリップに再び文字を書く。


【亜金さんサイテー】

「えっと……抱くってのは、アレのことじゃなくハグのことで……」


夕貴さんが、フィリップを強調する。


【亜金さんサイテー】


その文字が目に入る。
すると少し病院が揺れる。


「地震?」


俺は、首をかしげる。
すると啓司が、慌てて走ってこの病室に入ってくる。


「亜金、枚方がやられた……」


俺は、この時、啓司の言葉の意味がわからなかった。
そして、これが地獄のシナリオの始まりだった

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ギフト(小説) [ギフト(小説)]

2013年02月22日


昨日、傷だらけで帰ったら主治医と看護師さんに怒られた。


「なんで、怪我しているんですか!
 何をしたら、そんな怪我をできるんですか!
 小学生ですか!」


担当医の、栄 里杏(さかえ りあん)ちゃんに俺は怒鳴られる。


「ご、ごめんなさい……」

「ごめんで済んだら医者はいりません!」


里杏ちゃんが、怒鳴る。
里杏ちゃんの身長が低く歳も16歳。
16歳なのに外科医……
もちろん内科も見れるけど、外科専門らしい。
御幸と同じく、この子もギフテッドだ。
ギフテッド、簡単に説明すると知性が普通の人より高い。
ギフテッドにもいろいろ種類があるんだけど、御幸と里杏ちゃんは、知性OEに分類されるギフテッド。
一般に広く知られているギフテッドと言っていいだろう。
ちなみに、OEとはOverexcitabilitiesの略で、漢字にすると過度激動らしい。
詳しいことは俺は知らない。


「ちょっと、私の話、聞いてます?」


里杏ちゃんが、そう言って怒鳴る。


「あ、うん。
 聞いてるよ」

「はぁ。
 とりあえず傷を見せてください」

「うん」


俺は、腕を出した。


「怪我をしてるの腕だけじゃないでしょう?
 服を脱いでください」

「え?」

「『え?』じゃ、ありません!
 さっさと脱ぐ!」


俺は、里杏ちゃんに服を脱がされると傷口に手を当てる。
すると俺の傷が、見る見る癒えていく……


「凄い……
 気持ちいよ……
 温かくてほんわかする」

「これが、私のギフト能力、ドクターです!」

「へぇ。
 凄いね。
 里杏ちゃんがいるのなら、毎日怪我しても大丈夫だね!」


俺は、安心した。
しかし、里杏ちゃんが、怖い笑顔で笑う。


「毎日怪我してきたら、殺します」

「え?」

「そんなのダメです」

「でも、俺は修行しなくちゃ。
 火蛾に勝てない」

「ひとり戦おうとするから負けるんです。
 みんなで力を合わせないと……
 ひとりは、皆の為に、皆はひとりのために……ですよ!」

「うーん。
 たぶん、戦闘になると他にいる強い人ともひとりで戦わなくちゃいけないんだ。
 そうしないとこの戦いに生き残れない」


俺は、そう言って自分の中で自信を失った。
その間も体の傷だけは里杏ちゃんに癒してもらった。

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ギフト(小説) [ギフト(小説)]

2013年02月21日


金曜日、曇り。
寒い……
本当に寒い。

今度は病院と警察のトップの方々の許可を得て俺は、病院の外に出た。

そして、向かった先は病院の裏山。
そこには、王が待っていた。


「遅いじゃないか……」

「ごめん」


王は、ため息をつくと俺に背を向けた。


「行くぞ、もう修行場の空間も作った」

「へぇ……」


王の能力は、一度見たアニメ、マンガ、ドラマ、小説の中から好きな技を好きなだけ持って来れるというチート級のギフト能力者だ。
前までは、1つだけだったんだけど、俺の知らない間に、パワーアップしたらしい。


「さぁ、この中に入れ」


王は、そう言ってどこでもドアもどきの扉を開けた。


「これって、どこでもドア?」

「いや違う、四次元マンションだ」

「なんのアニメ?ドラえもんのどこでもドアとは違うの?」

「これは、ハンター×ハンターのノヴが使う四次元マンションって念能力だ。
 この中に入ればどんなに暴れても大丈夫だ」


王は、得意げに言った。


「これってドアの大きさとか決めれるの?」


俺の質問に王は答える。


「ああ。
 サイズ変更にドアの開閉も自由自在だ。
 “触れていなければいけない”と言う制限はあるが、ドアを途中で閉じることで相手の体を切断することも可能だ」

「怖い能力だな」


本当に怖い。
俺に勝てるかどうかさえわからない。
まぁ、敵じゃないから戦うことはないんだけど……


「俺からすれば、お前の能力も十分怖いよ」


王が、そう言って笑う。


「そう?」

「ゲームは、戦闘向けの技が多いからな……」

「そうかな?
 アニメや小説、漫画も戦闘向けなモノ多いじゃん」

「お前は、真面目だからな……
 例えばお前の能力の場合だな。
 とりあえず、恋愛ゲームをやってみろ。
 モノによっては、お目当ての相手がどこに行けば会えるか。
 とか、選択肢が頭に浮かび正しい選択肢を選べば恋愛フラグを立てるだけで結婚できるんだぞ?
 俺は、この能力が非常に欲しい」

「言われてみれば、そんな使い方もできるね」

「これを使えば敵の探索もできるぞ?」

「あ、そっか……」


王は、ため息をつく。


「とりあえず、修行するぞ」


そして、俺は王に修行を積んでもらった。
流石は、王……
豊富な技に俺は、負けた……

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ギフト(小説) [ギフト(小説)]

2013年02月20日

水曜日、曇り。
俺は、バニッシュと言う姿を隠す魔法を使い病院を抜け出した。

そして、俺は1人の男を呼び出した。
俺たちとは別グループに存在し、俺が唯一苦手とする男……

王 卓也(おう たくや)。

間違ってもオタクと言ってはいけない。
言えばヤツのギフト能力での報復を受けるだろう。


「お前から、連絡をくれるなんて珍しいな」


王は、そう言って俺の方を威圧的な目で見る。


「ああ。
 少し頼みが合ってな」

「なんだ?
 頼みってなんだ?」

「修行をしてくれ」

「は?」


王の目が細くなる。


「どうしても倒したい奴がいるんだ」

「ほう……
 まぁ、いいだろう」

「いいのか?」

「俺も、火蛾には腹を立てている」


王の目がさらに細くなる。


「火蛾の事を知っているのか?」

「俺もジャーナリストの端くれ……
 それくらいの情報ならいくらでも入ってくる。
 お前が、特務捜査官に入ったこともな」

「……そうか」

「だが、火蛾を倒すのは俺だ」

「え?」

「アイツは、あの病院を放火した時に、俺の友達を殺した」


王が、下唇を噛む。


「そうか……」


俺は、あえて深く聞かなかった。
聞いたところで答えてくれないだろう。


「それにお前の相手は、白銀なんだろう?」

「まぁ、そうだけど……」

「まぁ、修行は、正式にお前が病院を退院してからだ」

「え?」

「お前の連れが、後ろで睨んでいるぞ?」


俺は、振り向くとそこに頬を膨らませた夕貴さんが、そこに居た。


【病院抜け出したらダメです】


夕貴さんが、フィリップにそう書いていた。
そして、俺は夕貴さんに手を引かれ病院に連行された。
王は、そんな俺の姿を見てケラケラ笑っていた。
その後、俺は病院内でこっぴどく叱られたのは言うまでもない。

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