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ギフト(小説) [ギフト(小説)]

2013年03月06日


ピノが死んだ。
突然現れて、突然死んだ。

俺の中の何かがぽっかりと穴が開いた気分だ。
平行世界の俺が、ピノと言う少女を知っている。
フィサフィーとの関係も結局は聞けず終い。


俺は、ピノを里杏ちゃんに預けた。


俺は、ピノと出会った場所に向かった。
そこには、奴がいる。

そんな気がしたから……


「やはり来たようじゃな……」


フィサフィーがいた。


「貴方は、ピノに何をしたの?」

「ワシは何もしておらん。
 ヤツは、もう死ぬ寸前だった。
 その間も、ずっとお主を探しておったのー」


フィサフィーが嬉しそうに笑う。


「なんのために……」

「ヤツは、主の事を好いておった。
 また、別の世界で主を探し主を愛し主を求めるじゃろう」

「……え?」

「まぁ、無駄話もここまでじゃ。
 殺し合いをやろうじゃないか……!!」


フィサフィーは、そう言って杖を構える。
俺は、ファンネルを構える。


フィサフィーは、火球を俺にぶつける。
俺は、ファンネルでその火球を防ぎ、その隙をついてフィサフィーの懐に入る。
そして、大剣を一瞬で召喚させ、フィサフィーの胸を貫く。


「プレゲトン!
 全てを燃やし尽くせ!」


俺は、そう叫ぶと剣から、炎が溢れフィサフィーの体を焼き尽くす。
俺は大きく後退し、フィサフィーから離れる。


「まぁ、これも良いじゃろう」


フィサフィーは、笑う。


「何がおかしいの?」

「今の主なら、白銀は倒せるじゃろう……
 時の巡礼者としての覚醒を済ませた主に、不完全な時の巡礼者の白銀なら余裕じゃろう……
 では、亜金よ。平行世界で会ったらまた会おうぞ……
 主が、覚醒していたらの話じゃがな……!」


何を言っているんだろう。。
俺には、わからない。
ただ、フィサフィーの笑い声だけが響いた。
その笑い声は、プレゲトンが放った炎が消えるまで続いた。

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ギフト(小説) [ギフト(小説)]

2013年03月05日


「あきーん。
 早くですますよー」


ピノが、走り回る。
今日、命が消えるなんて考えれない。
でも、聞きたいことは聞いておかないと……


「ピノ、ベルゼブブって知ってる?」


俺は、ピノの隣に立つとピノは、その場で座り込む。


「座って話すですます」

「あ……うん……」


俺は、戸惑いながらもピノの隣に座る。
すると、ピノは俺の膝の上に座る。

「あまえー」

「え?あ……?」

「ベルゼブブ。
 それは、悪い時の巡礼者の集まりですます
 そうじゃない人も多いけれど、悪い時の巡礼者を集めて世界を滅ぼそうとするのですます」


ピノは、静かに語りだす。


「じゃ、あのフィサフィーってお爺さんも……?」

「はい。
 フィサフィーも時の巡礼者ですます。
 しかも、悪い時の巡礼者ですます。
 フィサフィーは、色んな次元に行くことができるのですます」

「次元って、パラレルワールドのこと?」

「そうですます」

「時の巡礼者ってなんなの?」

「特殊な能力を持った人ですます」

「特殊な能力って、ギフト能力の事?」

「ギフト?」


ピノは首を傾げる。
どうやら違うみたいだ。


「俺の特殊な能力って何?」

「亜金の特殊な能力は、不食なのです」

「ふしょく?」


俺は、首を傾げた。


「亜金は、他人の不幸を食べて自分が不幸になるのですます」

「そうなの?」

「きっと、どこの亜金もそうなのですます」

「そ、そっか……」


どうりで、昔から運が悪い訳だ。


「あー!!」


ピノが、突然大きな声をあげる。


「どうしたの?」

「あきーん!
 ゆきーーー!!」


俺は、それを見上げると粉雪がちらほらと舞い降りた。


「雪だね……」


俺は、静かにピノの方を見る。
ピノの体が静かに冷たくなる。


「ピノ?」


ピノは、動かない。
ピノは、静かに息を引き取った。
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ギフト(小説) [ギフト(小説)]

2013年03月04日

晴れ、月曜日。

ピノは、一命を取り留めた。
だけど、何者かのギフト能力の【呪い】で、もう今日明日中には命を落とすらしい。

俺は、ピノの最後を見届けることにした。
知りも知らない女の子。
正体不明の女の子。
だけど、この子は、敵じゃない。
そんな気がする。

これは、ニュータイプの勘なのかもしれないし。
ただたんに、俺が、ピノを信じたいだけなのかも知れない。


俺は、ぼーっとベッドの上で眠るピノを見た。
するとピノは、目をパッチリと開ける。


「あー。
 亜金ー」


ピノは、嬉しそうに俺の体に抱き付く。


「亜金だ♪亜金だ♪亜金だ♪」


ピノは、何度も俺の名前を呼んではしゃぐ。


「亜金、亜金は、時の巡礼者……
 私、ずっと探してたのですます!」

「その時の巡礼者って言うのはなんなの?」


俺は、真面目な顔でピノに尋ねる。


「時の巡礼者は、色んな世界に自由に行くことができるのですます
 でも、死んじゃうと記憶を失って別の存在になって同じ宿命を持って生まれることができるのですます」


うん。
何を言っているのかさっぱりわかんない。


「どういうこと?」

「ピノも時の巡礼者なのですます!
 ピノはこの世界の亜金を見つけたのですます!」

「え?ピノは俺のことを知ってるの?」

「ピノは、別の世界の亜金を知ってるのですます!
 その世界で亜金はピノのご主人様なのですます」

「うーん。
 平行世界とかパラレルワールドとかそんなの?」


ピノは、嬉しそうに頷いた。


「うん!
 そう!
 でも、ピノ嬉しいですます」

「どうして、嬉しいの?」

「この世界の亜金は、何処か幸せそうですます」

「え?」

「私の世界に亜金は、寂しくて私を作ったのですます」

「それって、ピノは俺の子供ってこと?」

「ピノは亜金の子供じゃないですます。
 亜金はご主人様なのですます。
 ピノは人口生命体なのですます」


別の世界の俺は、そんなモノを作ることができるのか。
俺、凄い……


「ピノ、明日、お外出れる?」

「どうして?」

「ピノ、亜金と約束したのですます。
 ピノは、もう一つの世界の亜金は、ピノに雪を見せてくれるって!」


無茶な約束をしたな、もう一つの世界の俺……
もう、3月だぞ……
俺は、思わずため息をついてしまった。

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ギフト(小説) [ギフト(小説)]

2013年03月03日


日曜日、曇り。


老人についていった先には小屋があった。
小屋の中のベッドの上で、女の子が1人、うなされていた。


「兄ちゃん、治せるかぇ?」


老人が、俺に尋ねる。
そして、その問いに俺は問い返す。


「この子……病気ですか?」

「そうじゃよ。
 この子は、短命……
 主に治せるかのぅ?」


老人の口調が変わる。
それと同時に溢れんばかりの殺気を俺に放つ。


「お前は、誰だ!?」

「ワシか?
 ワシの名前は、フィサフィー。
 時の巡礼者亜金よ。
 この世界でも逢えるとは、ワシは嬉しいぞ!」


フィサフィーと名乗る老人は、杖をだしそれを上にあげると頭上に大きな火の玉を作る。
その火の玉はだんだん大きくなり、それを俺と女の子の方に向けて投げる。

どうする?

この女の子も罠か?


俺が、迷っていると女の子が、俺の顔見て笑う。
やっぱり罠か……?


「亜金……?
 ピノに会いに来てくれたのですますか?」

「え?」


女の子の顔が、顔を赤らめ、嬉しそうな表情を浮かべる。


俺の体は、無意識に動く。

俺は、女の子を抱き上げるとATフィールドを展開させた。

炎はあちらこちらに飛び散り周りは火の海になった。


「大丈夫?
 えっとピノちゃん?」

「亜金、変ですます。
 ピノはピノですます。
 『ピノちゃん』ではないですます」


この子は何を言っているのだろう?


「えっと、ピノ大丈夫?」

「大丈夫ですます……」


ピノは弱弱しく言った。
絶対に大丈夫じゃない、それくらい俺にもわかる。

振り向くとフィサフィーの姿は、無かった。
アイツは、何をしたかったのだろう。


俺は、ピノと抱き上げると里杏ちゃんがいる病院へと向かった。


「この子どうしたの?」


里杏ちゃんが、俺の方を見る。
俺は、事情を話した。


「とりあえず、この子を観るわ。
 この子は、怪我じゃない病気でもない……
 何かこう別なものがあるわ」


里杏ちゃんは、他の看護師に指示を出して、治療室へと運んだ。


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ギフト(小説) [ギフト(小説)]

2013年03月02日


土曜日。
俺にできることを考える。
考えた所で何もない。


俺は、何気なく河川敷に向かった。
河川敷に行くと太郎たちが、炊き出しをやっていた。


「あ、亜金さん。
 来てくれたんっすか?」


太郎が、俺に気付く。


「あ、亜金君、おはよう」


萌ちゃんが、ニッコリと笑う。
その表情は、何処か疲れている。


「萌ちゃん、疲れてない?」

「これくらいへっちゃら!
 瓜も桃も頑張っているんだし私だけ休んでなんかいられないよ」


萌ちゃんは、どう見ても疲れている。


「萌ちゃん、目を閉じて……」

「エッチなことしない?」


俺が、真面目な顔で言っているのに萌ちゃんは、俺を茶化す。


「しないから……」

「信じる!」


萌ちゃんは、目を閉じた。


「聖なる癒しの御手よ
 母なる大地の息吹よ
 願わくば我が前に横たわりしこの者をその大いなる慈悲にて救いたまえ。
 リザレクション!」


俺の手が薄く光じんわりと暖かくなる。
その手を萌ちゃんの頭に当てる。


「あー。
 あったかい……
 それでいて気持ちいい」


萌ちゃんが、嬉しそうに笑う。


「これ、いいでしょ?
 玉藻が疲れた時によくこうやって回復してあげてるんだー」

「へぇ。
 これは、なんというゲームの魔法?」

「スレイヤーズだよ。
 詠唱魔法だから、呪文を覚えるの苦労したよ」

「亜金君、昔から暗記苦手だったもんね」

「うん」


萌ちゃんのお顔色が見る見るよくなって行った。


「兄ちゃん、回復魔法のギフト能力しゃかえ?」


俺が、萌ちゃんの疲れを癒していると1人の老人に声をかけられた。


「いえ、どちらかと言うと俺は、補助系ギフト能力者なんです」

「そうか……」


老人は、ガッカリとした表情でため息をつく。


「どうしたんですか?」

「孫の熱が下がらんのじゃ……」


老人が、そう言うと涙を流す。


「私は、もう大丈夫だから、亜金君、お爺さんのお孫さんの所に行ってあげて」

「うん。
 わかった……」


俺は、頷いて老人の後についていった。

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