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ピノの旅(小説) [ピノの旅]

――4月24日


今日は、お花見会。
桜の散る時期ではあるが、町はお祭り気分。

俺もピノもプレゲトンも和服を着て、この町を散策した。
星さんや空猫さんも同席し色んな物を見た。


「あきーん。
 これ、綺麗!」


ピノが、そう言ってくるくると回る。


「ピノ、あんまり動き回るとコケるよ」


俺が、そう言うとピノは、ピタリと動きを止め「はーい」と返事をした。


「ピノちゃん、和服が似合うねぇー」


空猫さんが、そう言って扇子を口元に当てる。


「うむ!」


プレゲトンが、頷く。


「プレさんも、なかなか似合ってるよ?」


空猫さんのお世辞にプレゲトンは、「うむ」と返事を返した。


「あ、あの……
 もしかして、星新一様ですか?」


見知らぬ女子が、星さんに話しかける。


「そ、そうだけど……」

「私、ファンなんです!
 ぜひ、握手してください!」

「あ、ああ……
 別にいいけど……」


星さんは、ぎこちない様子で握手をした。


「あ、あの……
 貴方は、空猫さんですか?」


次は、黒髪の大人しそうな女の子が、空猫さんに近づいてくる。


「うん。
 そうだよ」

「あ、あの……
 握手してください!」

「いいよ」


空猫さんは、ニコニコ笑いながら手をだし握手をした。


「亜金、妬くなよ?」


プレゲトンが、ニンマリと笑う。


「妬かないよ」


俺が、そう言うとピノが、俺の方を見る。


「あの、亜金さんですか?」

「うん?どうしたのピノ?」

「亜金さんですか?」

「う、うん……
 そうだよ」

「よかったらピノと握手してください」

「……う、うん」


俺は、ピノと握手した。
もしかして、ピノ、俺に気を使ってくれた?

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ピノの旅(小説) [ピノの旅]

――4月23日


「死ぬってどういうこと?」


俺は、空猫さんに尋ねた。


「正式には、不幸が訪れるんだ」

「不幸?」


プレゲトンが、首を傾げる。


「まぁ、呪いの和服だね。
 あの和服を着て死んだ人は、数えきれないほどいて、その数えきれない人の怨念が着た人に悪影響を及ぼし……
 そして、死ぬ、まぁ、詳しい説明はやめておくよ」


空猫さんが、ニコニコ笑いながら扇子を広げ口を隠す。


「じゃー。
 ピノ、あれがいい!
 桜いっぱいで、綺麗!」


ピノは、そう言って桜の模様が描かれた和服を指さす。
意外と切り替え早いのね……


「……あれ、男モノなんだ」

「男モノ?」


ピノが、首を傾げる。


「うん。
 遠山の銀さんが来ていたという服のレプリカだよ。
 まぁ、あの人、桜の着物なんて来ていないんだけどね」

「銀さん関係ないじゃないのか?」


プレゲトンが鋭い突っ込みを入れる。


「まぁ、あれはイメージだからね」


空猫さんは、ニコニコ笑いながら扇子を振る。


「あー。
 これ、亜金に似合いそう!」


ピノは、空気を読まずに温泉模様の和服を指さす。


「それは、アニメの『金魂』の衣装だね。
 注文があって作ったら、大反響。
 売れに売れて大儲け……もう、笑いが止まらないよ」


空猫さんが、ケラケラ笑う。


「じゃ、亜金は、これに決定だね」


ピノがそう言って決める。


「俺にも選ばせてよ」


結局、俺はこの服を選ばされピノやプレゲトン、星さんも和服をプレゼントされ明日の桜まつりに参加することになった。
服を着るだけで宣伝になるとは、思わないんだけどな……
俺や星さんのは、そんなに高くないのだけどピノとプレゲトンの和服は高そうだった。
4人分の和服だけで500万円は超えている気がする……
空猫さんって、家は呉服屋って言っていたけれど、まさか和服界一の大手、『みさ正』の次男坊だったなんて思ってもいなかった……
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ピノの旅(小説) [ピノの旅]

――4月22日


俺たちは、高級そうな呉服店に招待された。
招待の主は、空猫さんだ。


「さぁ、好きなのを選んでいいよ?」


空猫さんが、ニコニコ笑いながら扇子を広げる。


「僕まで本当にいいのかい?」


星さんが、苦笑いを浮かべる。


「構わないよ。
 お花見パーティーの時に着てもらえるだけで十分な宣伝になるしね」

「そ、そう……」


星さんは、そう言って安そうな和服の方に行く……


「ちょっと、ちょっと!
 そんな安い和服でいいのかい?
 そんなんじゃ、宣伝になんないよ?」


空猫さんが、ニコニコ笑う。
どこまで本気かわからない。


「ならば、私は、この和服にしようか?」


プレゲトンは、そう言って花柄と子供が2人、描かれている如何にも高そうな服を指さす。


「その服は、200万のヤツだね。
 ちなみに子供の絵1人描くのに15万するんだー。
 流石、プレさん、お目が高い」


空猫さんが、とても嬉しそうだ。


「そ、そんな高いのか……?
 な、なら違うのを選ぼうか……」


流石のプレゲトンも気が引けるのだろう。


「そう?
 もっと高いのでも構わないのに……」


空猫さんが、ニコニコ笑う。
この笑顔……怒ってるの?笑ってるの?


「じゃー、ピノ!
 あのお洋服が欲しい!」


ピノは、そう言ってガラスの中に展示されている服を指さす。


「お、流石ピノちゃん、お目が高い!
 でも、あれはお洋服じゃなくて和服なんだー。
 そして、あれは譲れないよ」

「残念……」


ピノが、肩を落とす。


「ほう……
 なんでも、売るような素振りだったがアレは、ダメなのか?」


プレゲトンが、とても嬉しそうだ。


「あれを着た人は、死ぬんだ」

「よし、やめておこう」


空猫さんの発言にプレゲトンは、即答した。

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ピノの旅(小説) [ピノの旅]

――4月21日


サクライーターの討伐を終え俺たちは、町の喫茶店でまったりとしている。
生産機の方は、ただいま調査中とのこと。


「にしても、亜金君凄いねぇー」


空猫さんが、扇子を広げニコニコ笑う。


「いえ……
 俺の力じゃないです。
 プレゲトンの炎の力なんです」

「それにしても凄いよ。
 あれだけの数の卵とドラゴンハーピーを駆逐できたのだから。
 それに僕の魔力計測系では、あの時の亜金君の魔力は、20000を超えていたよ。
 ピノちゃんの時の魔力は、測定不可だったけど20000超えの魔力……
 ファルシオンの隊員にもなれるぞ?」


星さんが、そう言って笑う。

ファルシオン。
この人間界の中で最も強い精鋭部隊。
ファルシオンに入るには、魔力試験、剣術試験、筆記試験、ED試験のどれか1つをクリアしなければいけない。
また、隊長クラスになるには、そのすべてをクリアしその魔力は、最低でも10万を軽く超えている。


「ファルシオンってなぁにー?」


ピノが、そう言って俺の方を見る。


「とっても強い人たちのことだよ」

「ふーん」


ピノは、そう言って上を見る。


「桜、もうだいぶん散っちゃったね」


俺が、そう言うとピノが、つまらなさそうにため息をついた。


「ピノ、早く雪が見たい……」

「そうだね……
 星さん、俺らの仕事っていつまでなんですか?」

「仕事自体は、もう終わってるよ。
 依頼料は、すでに口座に入っていると思う。
 特に亜金君は、頑張っているから給与高いよ」


星さんが、そう言ってとびっきりのスマイルを見せた。


「それじゃ、早速明日にでもピノの和服を買ってやることができるな」


プレゲトンが、そう言って静かに紅茶を飲む。


「わー。
 服楽しみー」


ピノが、嬉しそうに笑う。


「じゃ、明日、この町の」オイラの和服屋に来なよ。
 いいモノ譲ってあげるよ」


空猫さんが、笑う。


「え?
 でも、貰うのは……」

「約束だからね。
 気にしなくていいよ」


空猫さんが、ニコニコ笑いながらコーヒーを口に運んだ。

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ピノの旅(小説) [ピノの旅]

――4月20日


「了解!」


俺は、頷いた。


「あれをやるのだな?」


プレゲトンが、俺に尋ねる。


「うん。
 プレゲトン、俺に力を貸して!」


俺が、そう言うとプレゲトンが答える。


「無論だ!
 行くぞ、亜金!」


プレゲトンが、そう言うとフェアリーセットの中で、アナウンスが流れる。


「炎の魔力供給を感知。
 魔力供給率、10%、20%......」


アナウンスは、そのまま流れ100%を告げる。


「魔力供給100%完了!
 敵味方判別機能完備!」


俺もEDに魔力を注ぐ。
魔力が高まり俺の目の色が炎のような赤色に代わる。


「亜金、一発大きいのを喰らわせてやれ……」


プレゲトンが、俺にエールを送る。


「地獄の業火は、全てを燃やし尽くす。
 死の河の名のもとに我が立ちふさがりし愚かきモノに永久の業火の名のもとに……
 風化頼炎!」


俺は、フェアリーセットで、拳を地面に叩きつけた。
すると地面から炎があふれ出し辺り一面を炎の海へと変わった。


その場にいた卵とドラゴンハーピーを消し去ることができた。


「うむ。
 なかなかの焼き具合だったぞ!」


プレゲトンが、褒めてくれた。
星さんが、俺に尋ねる。


「どうして、僕たちは無事なんだい?
 そして、今の技って……」

「はい、これは俺の力じゃなくプレゲトンの力なんです。
 俺の力は、【共鳴】。
 信頼している人の力を借りてその人との技を使うことができるんです」


俺が、そう言うと空猫さんが、扇子を閉じる。


「まさに天晴だね」


そして、空猫さんと星さん以外に1つだけ、生き残っている機械があった。


「これが、卵生産機のようだね」


星さんが、そう言って生産機に触れる。


「まだ生きてる?」


空猫さんが、星さんに尋ねると星さんは、首を横に振った。


「いや、壊れているよ。
 でも、一応回収してファルシオンの技術部に移送してもらうことにするよ」


星さんが、そう言って無線でファルシオンの応援要請を出した。

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