SSブログ

まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]

2012年06月11日



月曜日。
美穂は、朝まで俺と一緒に居たけれど……
朝食を一緒に済ませるとすぐに仕事に向かった。

働くって大変だな。


暫くすると千春ちゃんが、俺の部屋に入って来た。


「昨日の夜は、暑かったので、汗かいたでしょう?
 体を拭きにきたのですが、どうしますか?」

「じゃ、お願いしようかな……」

「では、上を脱いでもらってもいいですか?」


俺は、上半身裸になった。


千春ちゃんが、タオルを取り出し俺の体を拭いてくれる。


「凄いですね」

「え?
 何がですか?」

「俺より若いのに立派に仕事をしている」

「そんなことないです。
 私なんか失敗ばかりで、全然凄くないですよ」

「俺から言わせてもらえば、十分凄いよ」

「ありがとうございます」


千春ちゃんは、そう言って笑った。


「千春ちゃん、優しいし千春ちゃんの彼氏は幸せモノだね」

「片思いの人は居るんだけどね。
 その人は、絶対勝てない人と付き合っているんだぁ~」


千春は、少し寂しそうに言った。


「そうなんですか……?」

「あ、すみません。
 余計な話でしたね」

「あー。
 なんだ、話だけなら聞きますよ?
 俺、こう見えて暇人なので……」

「ありがとうございます」


暫く沈黙が流れる。

会話が途切れてしまった。

千春ちゃんは、黙々と僕の体を拭いてくれた。


「はい。
 綺麗になりましたよ」

「ありがとうございます」

「いえいえ」


千春ちゃんがニッコリと笑う。


「看護師さんってモテる?」

「残念ながら忙しくて出逢いなんてないですよー」

「千春ちゃん可愛いのに勿体ないですね」

「もしかして、口説いてくれてます?」

「え?そんなことないですよー」

「彼女さんに言いつけてやるー」


千春ちゃんは、そう言って笑うと部屋を出た。
彼女か……
美穂は、彼女じゃないんだけどな……


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。