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まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]

2012年10月08日


晴れ。
いい天気だ。
月曜日。
でも、祝日。
今日も早くに目を覚ます。

そして、待合室に行くと充君がいた。


「充君おはよう。
 今日も眠れなかったの?」

「亜金さん。
 おはようございます。
 はい、ここ最近一睡もしていません……」

「そっか……」


不安なんだろう。
怖いんだろう。

手術ってそんなもんだ。
俺の目の手術でさえ、あんだけ怖かったのだから……
命をかけた手術なんて、その非じゃないくらい怖いだろう。


「脊髄の手術なのか?」

「はい。
 遠い親戚の方の脊髄の細胞が僕のと適合して移植できることになりました」

「そっか……
 だったら、助かる可能性も高いじゃないのか?」


充君は、少し険しい顔をした後、髪の毛を取った。
そうか……
髪型が、あんまり変わらないと思っていたら、全頭ウィッグだったのか……


「僕の症状は、結構悪いんです。
 今は、薬でなんとか押さえてますが……
 効果が切れると辛いです……」

「そっか……
 でも、大丈夫、成功すると信じようよ」

「信じたいです……
 でも、それ以上に怖いんです。
 脊髄移植って、相応のリスクがあるんです。
 失敗の可能性もあるんです」

「プラス思考でいこうよ。
 歩ちゃんは、成功したじゃないか……」

「え?亜金さんは、知らないのですか?」

「うん?何を……?」

「歩ちゃんの手術、決して成功とは言い切れないんです。
 血管に血栓が、つまるようになったんです。
 手術してから、意識を失ってたでしょう?
 それが、原因だそうです……」

「結構、詳しいんだね」

「勉強しましたから……」

「充君凄いよ」

「僕の将来の夢は、医者になって同じ病気で苦しんでいる人を救うことなんです」

「叶うさ……
 充君、頭がいいから……」


俺は、そう言って充君の頭を撫でた。
それしかできなかった。
情けない。情けない。情けない。
こんな自分が情けない。

俺は、命をなんだと思っていたのだろう……
生きたい命はそこにあるのに俺は、それを辞めようとした。
だけど、あのまま生きていても何もならなかったかもしれない。

自殺への後悔と自殺したからこそわかった命の大事さ……

俺は、どうするのが正解なんだろうか……?


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