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まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]

2012年11月27日


俺は、いつものようにベッドの上で項垂れている。
すると小太郎と御幸さんが見舞いに来てくれた。
御幸さんは、弁護士……

きっと美穂の話だろう。


「亜金、杉並美穂さんのことで話があるんだ……」


小太郎が、静かな声で言った。


「ああ。
 偽物だってことはわかっている。
 でも、もういいんだ」

「いいってどういうことだ?
 騙されて腹が立たないのか?」

「んー。
 なんていうんだろ。
 腹が立つと言うか、むしろ感謝しているんだ。
 俺に『生きろ』と言ってくれた。
 俺に『死ぬな』と言ってくれた。
 俺に命の儚さを教えてくれた……
 でも、たぶん、あの子は、いっぱい嘘をついている。
 俺が脳腫瘍だと言うのも嘘なんだろう?」


俺は、表情を変えず天井を見た。


「そこまで気づいていたのかい?」


御幸さんが、少し驚いた様子だった。


「うん」

「単刀直入に言うと、亜金君は、健康だ。
 まぁ、少し高血圧ではあるが、生活に支障はない」

「うん」

「で、なぜこの病院にいるのか……
 気になるだろう?」

「そうだね」

「それは、美穂さんの意向らしい。
 美穂さんが、遺言書を残していたんだ。
 君だけが、もし助かった場合、生きる希望を持つまでこの病院で入院させてやってくれってね……」

「そうか……」

「そして、もう2度と自殺しないと誓うのなら退院はできるみたいだ」

「そっか……
 迷惑かけるのもあれだし、自殺しない宣言をして退院してしまおうかな」

「退院した後は、どうするつもりだい?」

「お金もないし。
 野宿だな……」

「彼女は、そんなのを望んでいなかっただろう。
 君の自立を望んでいたはずだ」

「そう言われてもな……」

「とりあえず、あの子をどうするか……
 それを考えるんだ」

「あの子?」

「そう、偽物の美穂さんのことだ……
 あの子も悪気があって君を騙しているわけじゃない。
 君を騙していること、許してやってほしい」

「許すも何も怒ってなんかないさ……」

「そうなのかい?」

「俺、あの子のこと惚れたみたいだ。
 昔の美穂じゃない、今の美穂のことを……」

「だったら、答えは出ているね」


御幸さんが、微笑む。
そう答えは、もう出ている……
問題は俺にその答えを出す勇気が、あるかどうかだ……


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まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]

2012年11月26日


隼人君が、俺の部屋に訪れる。


「ねぇ、亜金さんのお父さんとお母さんってどんな人?」

「普通じゃないかな……
 甘くもなければ厳しくもない。
 ただ、俺が甘えすぎて家を追い出されちゃったんだけどな」

「じゃ、僕と同じだね」

「うん?」

「無理心中ってヤツかな。
 車の中で手首を切って僕と妹のマコを車の中に閉じ込めて殺そうとしたんだ」

「そっか……」

「僕が、車から出ている間に車に火が移ってマコは焼死。
 マコは、あの時、生きていたんだ……
 今も耳から離れない。
 マコの『助けて、お兄ちゃん、熱いよ』って声が……
 マコは、最後まで僕に助けを求めていたんだ。
 なのに僕は何もできなかった。
 僕は助けたかったのに、大人たちの手によって阻止された……
 なんとか大人たちの妨害から逃げて車に近づいたら、車が爆発したんだ。
 それと同時にマコの声は聞こえなくなり、僕の左目は見えなくなった」

「……そうか」


なんて声をかけたらいいのかわからない。
何を言ってあげればいいのかわからない。


「親は、多額の借金を残して死んだ。
 会社を運営していて、それなにりお金持ちだった。
 それまでは、ニコニコ愛想笑いを浮かべてお金を借りに来た親戚のおばさんやおじさんたち……
 としてお父さんやお母さんの友人、知人たち……
 お父さんた沢山お金を貸していたけれど……
 お父さんの会社の経営がうまくいかなくなった途端、笑わなくなった。
 誰もお金も返してくれなかった。
 みんなが、返してくれていれば多分、返せた金額だと思う。
 でも、お父さんは何も言わなかった……
 何も言わずに僕たちを巻き込んで自殺した。
 酷いよね……そのうえ、僕をだれが引き取るかで揉めてたんだよ」

「うん」

「悔しくて悔しくて僕は、涙が溢れたんだ……
 アイツらは、お父さんたちを殺したのに被害者面して……
 そんなときにね、愛が現れたんだ……
 『こうすれば何も聞こえないよ』って、言って僕の耳を両手でふさいだ」

「そっか……
 その時に、愛ちゃんんと出逢ったの?」

「うん。
 その時に決めたんだ、僕は、もう泣かないって……」

「そっか……」


今日の隼人君は、おしゃべりだ。
俺は、暫く隼人君の話を聞いた。
俺には、それしかできることができないから……

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まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]

2012年11月25日


晴れ。
いい天気だ。

いい天気の日。
隼人君の眼帯が外された。

愛ちゃんの茶色い目が、隼人君の目になっていた。
隼人君の右目は黒い。

いわゆるオッドアイと言うやつだ……


「このろうそくの火が、見える?」


銘先生が、優しく言う。
薄暗い部屋……
そこにろうそくが一本立っている。


静かな部屋、隼人君はゆっくりと頷く。


「見えるよ。
 視界が広がった感じ……」

「そう……
 手術は、成功したみたいね」

「うん」

「ふぅ……
 なんか、緊張した……」


美穂が、ため息をつく。


「なんで、美穂が緊張するんだよ……?」

「なんでって……
 うーん。なんでだろ?」


美穂が、笑ってごまかす。


「まぁ、それは置いておいて隼人君。
 少し難しい話をするけどいいかな?」


銘先生が、真面目な顔をして隼人君の方を見る。


「うん」


隼人君が、真剣な表情で頷く。


「隼人君の病状は、もう安定しているの。
 だから、隼人君は退院しなければいけない」

「うん」

「でも、隼人君の親戚は、みんな隼人君の受け入れを拒否している」

「うん、知ってる」

「そう……
 なら、話は早いね。
 隼人君は、施設に入ることになったわ」

「そっか……」

「ちょっと待って!」


美穂が、横から口を出す。


「美穂さん、何?」

「そんなの今はなさなくてもいいじゃない?」

「話せるときに話しておかないと……」

「そうだけど……」

「遅かれ早かれいずれは病院を出なくちゃいけないの。
 病院も慈善事業でやっている訳じゃないからね……」

「だったら私が……」


美穂が、そこまで言ったところで言葉を止めた。
そう他人であるはずの美穂が引き取れるわけがない……
残酷だけど仕方がないのだ……

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今日のGジェネ日記 [Gジェネ]

今日のGジェネ日記。

今日は、B2をクリアしてみました。

そして思いました。

2番目にマスターセレクトしたウッソ君が、弱いではありませんか……

折角、この時分では末恐ろしく強いサイコハロに乗っているのに、力を発揮していません。


なので、ウッソ君をひたすら教育。

レベル30を過ぎるまで、A1の「ガンダム大地に立つ」で、いわゆるジーン道場をやっていました。

毎度思うのですが、この時分にサイコハロとか居たら、軽く一年戦争を5、6回は、終わらせることを出来そうな気がしてきた……

こちらのサイコハロが、レベルが上がるにつれ「ビームライフル?なにそれ美味しいの?」的な勢いでダメージ受けない。

と言うか、ここザクⅡは、ビームライフル装備してないんだけど……

ザクマシンガンとかザクバズーカとか、ウッソ君が避けてくれるし、当たっても~3000くらったら少し痛いなぁー程度……

こっちのHPは、初期で35000です。
ENは、300です。

攻撃は、ハロ・ビット一本。


ザクⅡなんてザコだし。
ザクマシンガンは、ザコマシンガンだし。
ザクバズーカは、ザコバズーカだし。

最初は、1万2千しか与えれなかったけど……
現在は、2万超えれるようになりました。


ちなみに、少し浮気して、A4の「東方は赤く燃えている!」で、デスアーミーに攻撃してみると、2万超えたので調子に乗って倒したら、レベルがバンバンあがりました。


味方ユニットだったクローンガンダムが、突如マスターガンダムになり、敵になりました。


ウッソ君、出番ですよ。


と言わんばかりに、とりあえず一本、ハロ・ビット。

超強気のウッソ君の1激には、マスターアジアもビックリな、2万オーバーのダメージをクリーンヒット。

一撃でマスターアジアは、涙目になって逃げました。

所詮、東方不敗。
所詮、マスターアジア。

東方を制しただけでは、勝てないのだよ。
アジアをマスターしただけでは、勝てないのだよ。

なぜだかわかるかい?

サイコ・ハロは、全方不敗!

まさに最強のボールなのだ……


だから思った。

1年戦争どころか、パイロット次第では、「第二次ネオ・ジオン抗争」までならなんとか、乗り切れるのではなかろうか……

UCには、サイコ・ジャマーたる便利なものがあるらしいので、サイコ・ハロでは、勝てないかもしんない。

サイコ・ハロ強いぞ……
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まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]

2012年11月24日


空は曇り、心は曇天。
愛ちゃんが亡くなってからと隼人君の元気がない。

明日、隼人君は眼帯を取るらしい。

ベッドの上でずっと蹲っている。


辛いのはわかる。
悲しいのはわかる。


でも、そこまでわかっているのに何を言ってあげればいいのかがわからない。


「はぁ……」


俺は、ため息をつく。


「亜金、ため息なんかついてどうしたの?」

「隼人君、自分のベッドから出てこないそうだ」

「うん。
 それは、聞いた」

「どうにかして救ってあげることはできないかなと思って……」

「時間が解決してくれるんじゃないかな?」

「それって、忘れるってことでしょ?」

「そうなるね」

「時間の解決ほど残酷なものはないような気もする」

「そっかな?
 人は生きる過程で誰かを失う。
 それに一つずつ反応していたら、心が幾つあっても足りないよ。
 時には忘れることも必要だと思う」

「そうだね……
 でも、忘れるのって怖いぞ?」

「うん。
 でもね、死のうとした亜金にも亜金が死んだら悲しむ人がいるってことは、忘れちゃだめだよ?」

「えー。
 話をすり替えないでよ」

「でも、そうでもしないと亜金は、再び死のうとするでしょ?」

「しないよ」

「本当に?」

「うん。
 命の大事さとか、ここに来てわかったしね……」

「ならいいけど……
 亜金にはずっと生きていてほしいんだ」

「うん。
 あと60年は生きるよ」

「うん。
 私は、あと61年生きる」

「え?」

「亜金が、死ぬとき淋しくないようにずっとそばに居てあげるね。
 それで、亜金が死んだあと淋しくないようにすぐに逝く……
 天国に行ったら、亜金が私を迎え入れてよね。
 パーティーの準備をしててね」

「何のパーティー?」

「天国誕生日?」

「意味わかんないや」


俺は、思わず笑った。


「亜金のホントの笑顔、久しぶりに見た。
 その笑顔忘れちゃダメだよ」


そう言う、美穂も元気がない。
美穂も愛ちゃんの死に相当ショックを受けたんだろうな。


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