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かみさまのにっき [かみさまのにっき]

1月1日


現世では、今日のことを元旦と呼ぶらしい。
神の世界では、今日のことを凶日または、厄日と呼ぶ。

なにせ、数え切れぬほどの願い事がやってくる。
願い神にとって、今日ほどめんどくさい日は無いだろう。


「彼女が出来ますように」

「仕事がみつかりますように」

「受験に合格できますように」


この三つが最も多い。
多い。確かに多い。
だが……


誰が願っているのか、余には伝わらぬ。
そして、名前も住所もわからぬからな、願いを唱えた人と違う人に願いを叶えてしまうこともある。


たとえば、就職祈願の人に縁を与えたりなど……


何せ、この国の人間は、この時期になると分野以外の願い事を唱えようとする。
困ったものだ。


せめて、願い事を唱えるときは、『誰に』『何の願いか』。
そして、願い主の名前と住所は、欲しいな。
あと、同姓同名の人もいる可能性があるので、生年月日も欲しい。


この5つの条件をクリアし、なおかつ抽選に通過したモノのみ願い事を叶えている。

ただ、どんな願いでも叶えている訳ではない。
願い事にも制限があるが、詳しくは教えることはできない。


とりあえず、昨日の夜と今日の朝は忙しかった。


真由の神社でさえ、数千人の参拝者が、来ていた。

真由は、巫女の衣装を着て踊っていたぞ。
まぁ、踊られても余たちは、見る余裕などないのだがな……

それは、さておき巫女衣装を着ると真由でもなかなかサマになるな。
馬子にも衣装ってヤツだな。


うむ!


「あ、神様も休憩?」


真由が、話しかけてきた。


「うむ!
 少し昼休憩を貰った。
 今から、昼食でも露店で買おうかと思っていたところだ」

「一緒していい?」

「うむ!」


余は、真由と一緒にたこやきたるものを食べた。
今日の夜は、すき焼きをご馳走してくれるらしい。

うむ!
楽しみだ。


※この物語は、フィクションです。
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